大きな海の中で、枠に入ったままの青い魚

NAYヨガスクール体験記 97
                     小林和之
直線上に配置

令和


  

 人々が醸し出し、
社会という壷の中でゆっくりと醸成されていく
時代の空気。
思想や価値観。

というよりは、
勝手に生まれてしまった
常識のようなものだろう。

それを共有している人たちだけが、
皆めいめいに勝手に、
世界はそういうものだと言うのだろう。


けれど
ほんとうのことは
誰も何も知らない。



ほんとうの世界は、
きらびやかな時代には
その影に捨てられ、

閉塞した時代には、
その外側に
変わらぬ姿で佇んでいるのだろう。


思えば、僕はそんな風に考えて、
時代とは少し違う場所に身を置く人、
置かざるを得なかった人に
いつも引かれていたような気がする。


『みんなと同じなんて嫌だ』

という   永遠の少年  特有の感性も
なくはないけれど、
未だに   それが変わらないということは、
きっと   他の意味もまたあるのだろう。



 時が巡り、
その時代、時代にあたりまえだった常識や価値観も
しだいに移り変わり、
変化していく。


そんな   あたりまえの事実に
気づいたのは、いつからだろう? 


子どもの頃は、
いつまでも   このままの世界が続き、
変わらずに過ごしていくものと思っていた。

一緒にいる家族や いつも遊ぶ友だち。
青い屋根と白い外壁の僕の家。
線路の向こうに広がる森や 犬の散歩道。

 それがやがて、
ある種の違和感とともに気づいていく。

抗えない法則のようなものに。

好きだったアニメ番組が最終回を迎えて終わったり、
飼い犬が死んだり、
仲の良かった友だちが引っ越したり。

そんなことを繰り返しながら、
日常の中に潜んでいる
小さな死を積み重ねていく。


 ・・・今日、悪いことをした自分。

昨日までの自分では、もうなくなってしまったと、
そう思って見上げた空の重さ。

どんなに青くとも、
鈍色にしか思えない色の空。

やがて森も消え、
宅地が造成され、
家族と歩いた 土の散歩道もアスファルトに変わり、

僕と僕の家族と友人たちや、
いくつかの知っている顔の人々が、
時とともに一緒に流れていく。


いつか大切な人を失ってしまうことを考え、
ツゲの木のある土の庭。


止まった時のなかに
埋もれてしまったままの子。


物理的な時の流れとは別に、
僕の内面にいる子どもは、

あの日のままの疑問や、
罪の意識を持ち続けている。


まるで忘れ物のように、
そのままの姿で。

生まれてしまった疑問に
どうすることも出来ず、
答えをみつけようとしている。


あられもなく落馬した男のように、
土ぼこりの去った草原に呆然と膝をついている。



 美しい音を持った幼い私は、

見苦しいからと世の中に捨てられたり、

はじっこに寄せられたりしたもののなかに、

まだ、ひょっこりといる。



 人の死や
時代の移り変わりよりもなお、

幼い日の私を恋しく思い、
私は、
私という
半ば架空の私が
過ごした時代の棺に花を添える。



時のない時空の内面にいる私と

今という現象界のここに交差する場所で、

隠された音の眠りを醒まし、

現われるのだ。



未だ明かされぬ象牙の森から 

音を持ち去るために。



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NAYヨガスクール体験記 97  「令和

※追記: 内藤 景代 (ないとう あきよ)記

☆今月の「詩」のような作品『令和』を拝読して、
むかし読んだ「外国の詩人」の話を思い出しました。

高名な「外国の詩人」が飛行機で、日本にいらして、
飛行場の待合室から出てこないので、
心配した日本のスタッフが
「どうなさいましたか? おぐあいでも悪いのですか?」
と おたずねすると、その「外国の詩人」は答えました。

「わたしのからだ(体)は、日本へ着きましたが、
 わたしの こころ(心)は、まだ、到着していません。

 それで、わたしは、
 わたしの こころ(心)が着くのを待っています。」

むかし読んだ話なので、ニュアンスしかお伝えできませんが、
(わかる… その感じ……)
と《共感》した気もちを おぼえています。

飛行機という高速で〔変化〕する状況に対応する、わたし。
でも、椅子にすわり、静かに
[わたしの こころ(心)が着くのを待って]やらないと、
いつのまにか…わたしは引き裂かれ、分裂し苦しくなる…

今回の和之さんの作品なら、
「時のない時空の内面にいる私と
今という現象界のここに交差する場所」
を 結びあわせてあげないと……
生きる練習(レッスン)が きついものになると思います。

時代の〔変化〕を感じたら、まめに立ち止まり、
ネコ(猫)が「ふみふみ」をして、
【自分の居心地をととのえる】ようにして、
《わたしと私》を仲よくする時間をもつことが、
【仕合わせ】に生きる秘訣のひとつでしょう。

2019年6月1日(土)[内藤景代の瞑想フォト・エッセイ]記

http://www.bigme.jp/00-19-06/19-6/19-6.html

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