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ある日、僕は、自分のいじめ体験について、
(ＮＡＹヨガスクール東新宿の)教室へ
提出すべく決心し、レポートを書いた。
２１才の時だったと思う。
借りたばかりのアパートの一室だった。
いじめの体験の中身は、何回か前に、
「コンプレックス-１」で書いたものと、だいたい同じ内容のものだ。
坂口安吾が『続 堕落論』で、こう言っている。
「・・・表面の奇麗ごとで、
真実の代償を求めることは無理であり、
血を賭け、肉を賭け、
真実の悲鳴を賭けねばならぬ・・・
（中略）
堕落の持つ性格のひとつには、
孤独という
偉大なる人間の実相が厳として存している。」
「手と足の２０本の爪を
血ににじませ、はぎ落として
じりじりと天国に近づく以外に道があろうか。」とも。
いじめについて、書き綴るというのは、
僕にとって、まさに
心の生爪をはがすような痛みの伴う行為だった。
書き終えたあと、鏡の前で自分の顔を見たら、
目の色が変わって見え、瞳孔が開いているみたいに見えた。
僕は、そのアスファルトに残された小動物の血の痕のようなレポートを
木曜日・夜の中級クラスに持って行き、レポートを提出した。
すぐに読まれたのか、
景代先生に「コツがわかって来た？」と聞かれた。
「？」な僕であったが、
その意味は、やがてわかった。
レッスン中、僕は、ひどく気分が悪かった。
いじめ体験を人に知られる。
それを自分で望んで告白するという行為に、
疲れ切ったと、
そう思っていたのだが、
ほんとうに体調が悪いことに気づいた。
「動けない・・・」
吐きそうになっている。
後頭部から首筋にかけて
悪寒のようなものがひろがり、
あまりの気分の悪さに、
生まれてはじめて、「倒れるかもしれない」と思った。
しかし、その悪寒も長くは続かなかった。
やがて、暗く重い雨雲が去り、
心に風が渡るように、
弱く、みじめな、いじめられっこの自分に、
僕は会いに行った。
けれどほんとうに会えたのかはよくわからない。
ただ、信じられない事象がこののち、訪れる。
笑いが止まらなくなったのだ。
景代先生は器の大きな方で、
先ほどまでとは打って変わって陽気になり、
端から見るとトチ狂ったかのような、
よく笑う僕を含め、
生徒さんたちに「もう少し小さな輪になって話しましょう」
と呼び集めた。
僕は、というと、なぜだか、わからないけれど、
ただうれしくて、かなしくて仕方なかった。
そんな自分が、
ひとりぽっちで、笑っているしかなかったのだ。
景代先生が、そんなとき、生徒さんたちを集め、
「もっと小さな輪になろう」と言ってくださったことが、
その時のお顔が、なぜかは知らない。
今も、ずっとこころに残っている。
この日の僕を見て、人はどう思っただろう？
頭のおかしい人と思っただろうか？
それとも能天気に明るい人と。
レッスンの終わり、冥想の時間になって、
静まったとき、
僕の胸には、急に透明な悲しみが広がった。
笑の素となっているこのエネルギーは、
どうやら喜びにも悲しみにも変化する性質のものらしい。
陽の光を浴びて輝く美しい花々のような喜び。
冷たく澄んだ、いい匂いのする風のような悲しみ。
このときの一瞬の変化を、
景代先生だけが、気がつかれていた。
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※追記； 内藤景代･記
◎あれから20年以上の時がすぎました・・・。
今では、和之さんも、３人の子どもたちのお父さん。
コンプレックスは､
｢心身相関的な、激情をともなう､イメージの複合体｣ なので、
こころのことなのに、
からだ(体)に深く反応します。
心身相関を《気》の｢層（レイヤー）｣で､
別のエネルギーにも変換しているようですね。
厳しい状況によく耐えて、生きのびてきました。
「あなたは強いひと」と、
和之さんにいったことがありますが、
ご本人は「？」でした。
覚えていますか？
☆また、新しく大きく変身するときですね。
こころから、応援しています。
景代 拝
◎生きづらいと思っている人へ  は、
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