《・・・どうして今まで会いに来てくれなかったの?》
最近、そんな声を聞いたような気がする。
こころみの途中成果か。
妄想に近いその呼び声に僕のこころはふるえた。
入り口は近い。
耳を澄ませば、振り返れば、手をのばせば、
ほんとうに触れられるような気がした。
あの日のまま、何ひとつ変わっていない声の主に。
遠く離れていたから。
きっと思わずそう呼びかけたのだ。
こころの深みから。
置き去りにされた場所から。
心の声はいつも思いがけない。
ほんとうに僕は不思議に思う。
少しおかしいのではないかとさえ。
けれど、僕にとってはかけがえのないものなのだ。
何だってするよ、と僕は言った。
思わずそう言ったのだ。
そこへ行くためになら、きっと。
この世の誰にも聞こえない。
けれど僕のこころをふるわせるたったひとつの声。
きっと誰も正気の沙汰とは思わないだろう。
けれど声は届いた。
この世の何よりも美しい声が。
だから、行ってみよう。
入り口すら知らないけれど。
もしかしたら、会えるかもしれない。
……あの日、生き別れた妹に。
…………… …………… …………… ……………
※追記;
魂(アニマ)は〈たましいの女性形〉。
対になる
〈たましいの男性形〉は、精神(アニムス)。
ユング心理学の〈元型(アーキタイプ)イメージ〉です。
NAYヨガスクール記。
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