大きな海の中で、枠に入ったままの青い魚
NAYヨガスクール体験記 -8         小林和之
直線上に配置
 マンダラ発想



僕は教室で何を学んだのだろう? 

 

そういえば、あまりそんなことは考えて来なかったかもしれない。

 

からだに染み込み、日常になったものを

あらためて知ろうとも思わなかったのだろう。

 

今は、ずいぶん教室から足が遠のいてしまった。

けれど心は通っている気がする。

 

少し考えてみた。

僕は教室でそれと知らず

「調和」へ向かう発想や姿勢を学んだのではないだろうか? 

マンダラ発想を。

 

時に火に焼かれるような葛藤が生まれ、

簡単なことではないけれど、

「それこそがチャンス。そこから逃げてはいけないよ」と、

いつも景代先生から教えられていた気がする。

 

対立するものの葛藤と、

葛藤の止揚された向こう側にある世界の美しさを。

 

けれど、いつも向き合えていたわけではなかった。

逃げたこともあった。

いや、逃げ続けていると言っていい。今もなお。

 

けれど時としてその気にもなるのだ。

葛藤の向こう側へ行きたいと。

 

教室へ通い始めた

 10代のあの頃、

僕は『BIG ME』〜こころの宇宙の座標軸〜

をふたたび手に取り、

 P
art2デスマッチから花と咲く

マンダラ発想の章
 
 焼かれるような気持ちで読んだのをおぼえている。

 

なんて面倒くさいことなのだろう、

と顔を歪めながら、苦々しい一歩を踏み出したのだ。

 

あれから20数年が経った。

小粒ながら、僕は日々の生活のなかでマンダラを作り続けている。

 

それはいつのまにかある種の形を作っていたのか? 

 

信じられないことだが、

僕は人付き合いや揉め事をまとめていくのが上手らしい。

 

周りから何度となく自然に聞こえてくる評価なので、

きっとほんとうにそうなのだろう。

バランス感覚に秀でているとも言われる。

 

誤解して欲しくないのだが、僕は別に自慢をしたいわけではない。

 

ただありえないと思うのだ。

 

教室へ通い始めた頃の僕を知る人なら、

きっと誰一人として信じないだろう。

 

僕も信じない。

 

ほんとうは今も疑っている。

 

実は何も変わっていないのだよ、と不敵にほくそ笑みながら。

 

教室へ来た頃の僕は、まるで人と話すことが出来なかった。

 

いわゆる青春の失敗例であり、

落とし穴にはまっていた。

 

人を疑い、

憎み、

世界を破壊することを夢見ている

怒りと

絶望の塊であった。

 

 

その頃でなく、もっと後になってから、

「自我と無意識の関係を

 どう捉えるかで

  その人の人生は決まります」

と景代先生がレッスンで言ったことがある。

 

不思議に心に残る言葉だった。

 

僕は言葉ではなく、

自らの体験としてその言葉の意味を知りたい、と思った。

 

こころの苦しみと向き合うということ。

 

奥深いこの行い。

 

ほんとうの行。

 

不思議な誘惑のように僕はそれを恐れ、

それを求める。

 

その場所に、遠い昔、失った人がいるような気がするから。

 

けれどそのくせ、僕はとんちんかんに逃げてしまう。

それの繰り返しだ。

 

人が成長するということ。

 

自我と無意識の葛藤。

 

ほんとうの孤独? 

 

いったい僕は

 ほんとうの自我の孤独というものを

  知っているのだろうか? 

 

あやしいものだ。

僕の知っているのはきっと孤立に過ぎない。

 

インドの聖者が言っているように

 自分の顔を手で覆い、

暗い、くらいと言っているのだ。

 

本物の孤独は、

 葛藤を恐れぬ勇気のある人しか

 知ることは出来ない。

 

そして孤独というものがほんとうはないことを知るのだろう。

 

孤独そのものになってしまえば。

 

すべての事象は音に変わり、語りかけてくるのだから。

 

 

……………     ……………     ……………    ……………

※追記:


『BIG ME』内藤景代・著 

〈Part2デスマッチから花と咲く

   マンダラ発想 〉の目次は



☆★インドの聖者とは、
ヴィヴェーカナンダのことです。

この有名な話は『スーパーラーニング&ヨガ』(潜在意識のイメージ・コントロール法)内藤景代・著に引用しています。



☆★☆ヴィヴェーカナンダについての詳しいお話は、

『ヨガと冥想』内藤景代・著

〈4段 ◎絶村・一元論―絶対の現れとしての、私。
      対立から、統合へ。即身成仏

 にあります。


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