大きな海の中で、枠に入ったままの青い魚

NAYヨガスクール体験記 137
                     小林和之
点(ドット) 青い罫

 きのこの椀

 
 霧に覆われる森の中にいる。比喩ではない。

富士の裾野に広がる原生林の森の中、
朽ちかけた家を直して、天窓を入れたり、
薪ストーブを設置したりして、
週末に暮らしている。

こんなライフスタイルを
最近では、二拠点生活、デュアルライフとも言うらしい。
ヤントラ で 云うところの タウン&カントリーの太極図)

辺りの森は、今は希少となった手付かずの原生林が残り、
樹齢100年はあろうかという もみの大樹も点在している。

苔むした根元には、
美味しいきのこのひとつ、全身オレンジ色のアカモミタケが
ぽこぽこと顔を出している。

少し散歩をすれば、
タマゴタケ、ヒラタケ、ハナビラニカワタケ、シロキクラゲと
おいしいきのこたちの姿が、霧をくぐり抜けては現れる。



 子どもの頃に住んでいた家の周りは、
雑木林が一面に広がっていた。

父が言っていた。
「雑木林が多いから、ここに家を建てることにしたんだ」と。

そう言って工務店を経営する弟に建ててもらった当時の家も、
広がる森も、今は跡形もなく、住宅地に造成されているのが
少し寂しい。

けれどやはり親子は似るものらしい。
息子である僕も似たようなことをしているのだから。



 雑木の森のなかにいると、
颯爽と犬を連れ、白いビニール袋を手に
嬉々として歩く父の姿を思い出す。

梅雨時から夏にかけて 発生するきのこを採っているのだ。

僕は、もっぱらクワガタの方を探しているのだが、
父のお目当ては、夏を代表するチチタケとアイタケの2種類。

この他のきのこを採っている姿は見たことがない。

まだ傘の開かない 生まれたての丸いきのこを「ぼうず」と呼んで
嬉しそうに摘み取る。

家に帰ると 外の水道で 根の部分をちぎり取ると
白い乳液が滴り、飼い犬が尻尾を振って 父にじゃれつく 。

辛党の父が 醤油だけで煮付け、
お椀によそられて食卓に並ぶ。

子どもたちは ボソボソとした このチチタケは好まず、
まろやかな舌触りの アイタケを
「おいしい」と言って選んで食べた。

母は、その辺りに生えている きのこなど 
毒きのこに違いないと思っているのか、
口をつけないどころか、
寡黙になって会話にすら入ろう としない。



 父が亡くなってから 20年が経とうとする ある大雨の日、
雑木林に忽然と現れたきのこたちに 
僕は魅了され、心を奪われた。

黄色の亜種のタマゴタケの群生だった。

それ以来、そこ ここの雑木林に通うようになり 、
やがてある日、
父の好きだったチチタケが
雨に濡れ、ビロードに輝いているのを見つけた。

茎を折ると白い乳が吹くようにこぼれ、
指に滴った。

魚のような独特な香りは、
紛れもなくチチタケのもので、
胸がいっぱいになる。

家で父の作ったように
お椀に入れると
美味しさのあまり汁まで全て飲み干してしまった。



 きのこの本を読むと
地域によって 好まれるきのこの違いについて 時々書かれている。

東北地方はマイタケ。
関西はマツタケ。
長野はハナイグチ(ジコボウ)

そして時折「魚臭くボソボソしてい ておいしいとも思えないのだが、
栃木人は、このチチタケが大好きで
一ザル三千円程の高値で取引される」と書かれている。

さらに調べてみると
戦時中、食糧難の最中、
栃木のこの地域に大量のチチタケが偶発的に発生したらしい。

食べ物のない時代であった ため、
子どもたちのおやつがわりに好んで食べられた、
と云う記録が残されているという。

栃木生まれの父、
雨の中、チチタケを探し回る
父の姿とつながっていく。

この国で、ともに生きた歴史や風土とつながっていく。

それは僕にも。今も 父と ともに。


「戦争中は、
勉強をするのに灯がないから、
母と一緒に近くの松林の枝を 拾って歩いたんだ」

そう言っていた 父の声が聞こえる。

多分 松ヤニを取ろうとしたのだと思う。

「その時、おれは必ず受かってみせると
心に誓ったんだ」

その通り、父は苦学して明治に進んだ。

考えてみれば、父は、勤勉な努力家だったのだ。

しかし
残念なことに
その息子は、高卒で 永遠の少年となり、
フリーターの道を選んでいく。

時代の変遷だとは、いささか言いづらく、
父には、いつも、やはり、
頭が上がらない。

けれど
見ていてください。
まだまだ人と関わり、
僕なりに いろんな音を奏でるつもりです。



 今年の秋は、
初めて 富士山のフィールドへ足を運んだ。

きのこ狩りをしている人がたくさんいる。

人の多く通る道を避けて
斜面沿いにトラバースして歩く。

大きなきのこを見つけた。
初めて見る。

手を添えると固く、茎も未だかつてないほど太い、
ズブズブと抜き取る。

松茸に似ているな、
と思ったが香りがしないので、
松茸とも思わず、
下のお店で鑑定して貰ったら、

「出ました~! ! 松茸~」

と 人だかりになってしまった。

「この大きさは 一生に一度だね」
「時価五万円かな」

と しばらくヒーローインタビューが続く。

家で おいしい松茸ご飯になったのだけれど、
父とつながる栃木人の血を持つ僕には、
やはりチチタケの方が数段美味しいと思う。

 


☆~☆~☆-----------------------☆~☆~☆  

*~・~・~・~*~・~・~・~*


 NAYヨガスクール体験記 137 「きのこの椀」

※追記: 内藤 景代 (ないとう あきよ)記

《その辺りに生えている きのこなど 
毒きのこに違いないと思っているのか、 》
はい。


◎わたしも、はじめて「きのこ採り」に連れていかれ、
きのこを近くに流れる【川】の水で洗い、味噌鍋にして
家人に「うまいぞ」といわれても……ひるみました。

(毒きのこではないか…。)

東京生まれの東京育ちなので、
八ヶ岳(やつがたけ)の雑木林で採ったきのこは、
「所有者に許可をえないで、いいの?」
と聞いたりして、未知の体験でした。

野生の思考】では、当たりまえの採取生活だったのでしょうが。

とはいえ、おいしかったです。美味。

その後、数年、秋には「きのこ採り」に出かけるほど((笑))

おっしゃるとおり、土地により、きのこのよさは【ちがう】らしい。

旅行に出かけた土地で、家人が きのこをとっても、
宿のひとに鑑定していただくと「ダメ。毒きのこ」
と却下され、彼は首をひねっていました。
「八ヶ岳では、これは、食えるのに…」

残念そうでしたが、土地が【ちがう】と、土壌も【ちがい】、
【同じ】きのこでも、毒きのこになるのかもしれない、
と、諦めました。

その後、3・11の福島-原発事故があり、
放射能をふくむ雨が降り、離れた土地にも染みこみ、
今まで食べられた きのこが毒きのこに[変化]し、
中毒もあったようで、注意をするようになっていました。

今は、大丈夫なようですが、ロシアが追いつめられて、
「核のボタン」を押さないように、念じています。

おいしい「きのこの椀」がいつまでも食べられるように((笑))


※追伸
山野草のめずらしい【花】たち、
大きな松茸(まつたけ)!
富士山5合目の空など、綺麗な写真をありがとうございました。



※ 【野生の思考】とヤントラ は こちらへ↓
  http://www.bigme.jp/000-000-03-04/03-04-18/03-04-18.htm


 ヤントラ の「太極図 タウン&カントリー」 相補性 2つでひとつ。【二】
        http://yantra-book.nay.jp/

ヤントラの太極図 タウン&カントリー 相補性 2つでひとつ。【二】


『聖なるチカラと形・ヤントラ』 ¥3000(税・送料こみ ) ◎通販 内藤 景代・著

「瞑想用ヤントラ・カード3枚プレゼント付き」通販 ¥3,000(税・送料込み)


**********************************************

内藤景代のレッスン ご案内 こちらへ 

 レッスン指導は内藤景代です
レッスン担当は、すべて内藤景代です。
                
http://www.nay.jp/0-a-c/a-mys.html


レッスン場所と日時 こちらへ
       新宿駅から徒歩 5分  新宿マイスタジオ行き方  地図 


 
**********************************************

2022年11月1日[内藤景代の瞑想フォト・エッセイ]記
 
 http://www.bigme.jp/00-22-11/22-11/22-11.html

********************************************
NAYヨガスクールのポリシー(創立理念) NAY SPIRIT IS BODY TRIP & MIND TRIP to SOUL in HEART  
 NAY SPIRIT IS BODY TRIP& MIND TRIP to SOUL in HEART   since1976 
NAYヨガスクールの精神(スピリット)は 心と体の旅により 
ハートにある  魂たましいに出会うこと
   since1976  こちらへ
    http://www.bigme.jp/nay-logo-hito-mark.htm
  
*********************************************

[内藤景代の瞑想フォト・エッセイ]

[瞑想フォト・エッセイ]  内藤 景代(NAYヨガスクール主宰)
http://www.bigme.jp/kosin-list.htm

内藤景代が、こころの花を届けますはじめてのかたもさらにヨガを深めたいかた
ご遠方のかたも日帰りで
集中レッスン指導は内藤景代です
内藤景代が、こころの花を届けます内藤景代の ヨガと瞑想、呼吸法のコツ お話と実技  

内藤景代が、こころの花を届けます

  ◎ヨガの究極のプロセスから逆算された「エッセンス」

ヨガと瞑想、呼吸法のコツ 
集中レッスン・セミナー
こちらへ

☆毎月1回・日曜 の午後です。詳細は、こちらへ     お申し込みはこちらへ
どなたも参加できる  〈毎月1回☆日曜 3時間〉 内藤景代の集中レッスン こちらへ

〔3時間で5,000円 〕会員は4,000円

レッスン場所と日時 こちらへ  
新宿駅から徒歩 5分 新宿マイスタジオ 5階・5C です  

      ★ レッスン場所
新宿マイスタジオ    行き方  地図


   ●内藤景代のレッスン ご案内こちらへ

レッスン指導は内藤景代です



ヨガ・瞑想、呼吸法 DVD・CD と本 のNAYヨガスクール通信販売 ご案内
ヨガ・瞑想、呼吸法 DVD・CD と本 のNAYヨガスクール【通販】  
 通販は【無休】です

★DVD・CD 目的別・症状別 《活用法》こちらへ

≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫
和之さん以外の
【◎ 9人のヨガ体験記―NAYのヨガで得られるもの】
のページ こちらへ
http://www.nay.jp/5-nay/nay-what/0-nay-yoga-what.htm
≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫
NAYヨガスクール(内藤景代 Naito Akiyo主宰)since1976

NAYヨガスクール(内藤景代 Naito Akiyo主宰)   since1976

[BIG ME club 内藤景代公式サイト]とは  [BIG ME club 内藤景代公式サイト]
NEW★1976年創立の「内藤景代ヨガスクール」は「NAYヨガスクール( 内藤景代・主宰)」と名称変更しております。2015年にレッスン場所が〔新宿〕から〔西新宿〕に移転しました →お話はこちら2016年が創立 40周年です→お話はこちら
NAYヨガスクールのポリシー(創立理念) NAY SPIRIT IS BODY TRIP & MIND TRIP to SOUL in HEART
 NAY SPIRIT IS BODY TRIP& MIND TRIP to SOUL in HEART since 1976    


                 ←前へ    次へ

    NAY会員の「猫の集会」の集会  猫の集会」(NAY会員のページ) 猫さんの肉球  NAY会員の「猫の集会」の集会 こちらへ 猫さんの肉球  NAY会員の「猫の集会」の集会
http://www.nay.jp/0-seito-neko/index/index.htm
「猫の集会」(NAY会員のページ)

青い魚(さかな)たち
                                                  

  NAYヨガスクール  NAYヨガスクール(内藤景代 Naito Akiyo主宰)since1976

内藤景代公式サイトBIG ME club内藤景代公式サイトBIG ME club

更新記録 内藤 景代主宰・NAYヨガスクール 最新のお知らせの記録 関連サイト内藤景代・NAYヨガスクール関連サイトの最新のお知らせの記録