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ブナの森が好きで、よく歩く。
関東圏では、今はもう標高の高い山の稜線沿いの原生林でしか出会えないのだけれど、
探してみると 比較的都心近くにもまだ残されていて、
樹齢 数百年の巨木たちの聳え立つ森の中をひとり歩いている。
陽のあたる穏やかな森、
風にふかれ、威風堂々と大きく広げた枝葉に、
陽の光をからめて遊ぶ優しい木々のざわめきが聞こえてくる。
誰もいない森のなかで、
ふっと こころが さざめく音に溶け込む。
古代から聞いていただろう、
あやうい存在である人のこころを包み込む音。
日本は、ブナ帯文化と言って、
列島に伸びる日本海側に広がるブナの森の麓に住み、
古代の人々は、
森の木の実や獣、
きれいな川を遡る鮭などを捕り、
暮らしていた。
縄文時代の 集落や遺跡の多くは、
豊潤な水と豊かな食べ物を生み出す
ブナの森の麓界隈に集中している。
僕のDNAにも
きっとその記憶が残されているのだろうと思う。
ブナの樹の深い緑や
淡い緑色の斑紋が重なる樹肌を見ていると、
こんなに美しく、こころを穏やかにさせる模様はないと思う。
実は最近、
そんなブナ帯文化の中心とも言える
新潟県の糸魚川市にある
明治造の古民家を縁あって譲り受けることになった。
裏口から出ると
１分で青海海岸に出る。
釣り人や翡翠ハンターたちが歩いている。
夏に来た時は、
透明で波ひとつなかった海が、
秋ともなると 大きく波打っていた。
お向かいさんに 面白い話を聞いた。
ここの海には、
春から初夏にかけての新月の夜、
蛍烏賊が群れだって訪れるらしく、
光を灯すと集まって来るため、
誰でも簡単にタモで掬えるとのこと。
３分もあれば バケツいっぱい漁れるらしい。
狩猟本能が ざわめく。
この地に眠る古代の記憶に
こころを揺り動かされるのだろうと思える。
糸魚川は、
フォッサマグナと言って
日本列島を分けていた
大陸と大陸がぶつかり、
つがった場所で、
世界ジオパークに認定されている。
糸魚川ー静岡 構造線はその西縁の溝となり、
そのため
地下の珍しい鉱物が
盛り上がって
地上へ現れ、
山から川へ、
そして海へと流れ、
いくつもの鉱物が
海岸に打ち寄せる。
一際 美しい翡翠を探して、
翡翠ハンターなる人々が
どの海岸にもいて、
下を見ながら
行ったり来たりしながら歩いている。
フォッサマグナの
地質学的な もうひとつの特徴は、
列島を横断する断層に沿って
地下のマグマを誘引するため、
妙高山や富士山など
多くの火山列が
横断していることだ。
偶然にも
昨年から今年にかけて
僕は、
この糸魚川ー静岡構造線上の
はじとはじにに
2つの行動拠点を手に入れたことになる。
譲り受けた古民家の持ち主が
「先代が、鉱物好きだったので」
といつまでたっても海で翡翠を拾えぬ僕たち家族に
微笑みながら
「これは蔵に眠っていたのでどうぞ」
といくつかの翡翠の原石を 手渡してくれた。
初めて見る 翡翠。
こんなに美しいのかと驚く。
きめの細かい白い表層に緑色の線が、
細い毛先の一筆のように描かれている。
優しく暖かみのある神秘的な色。
石でありながら、
どことなくブナの樹肌を連想させる風合いに近いと思えるのは、
縄文の血のせいからだろうか。
翡翠は 美しくありながら 硬度もあるため、
玉と呼ばれ、
縄文の時も
弥生の時も
生活道具や祭祀や宝飾品に使う
勾玉とされていた。
『BIG ME ～こころの宇宙の座標軸～」 内藤景代･著 』の
「マンダラづくりー「好き」な気持ちを、中心核にする」
の項に
「ポイントー「好き」なものを発見する方法」が書かれている。
波、小川のせせらぎ、風のそよぎ、樹木のざわめきなど、
大自然の湯っったりとしたリズムに身をひたしてみる。
自他未分になって一体感にひたると、
生きとし生けるものへの 愛しさがわく。
好奇心の電波探知機（レーダー）を三六〇度に向け、
ヤジ馬根性を発揮するのもヨイ。
興味を持って注目してみる。
それについての知識を
雑学的にかたっぱしから集めるのも、楽しい。
上下左右、裏表、内外、古今、東西南北、主観、客観、斜め・・・など、
あらゆる視点で面白がって見る。
［ＮＡＹヨガスクール体験記］を書いていて
「『BIG ME』に ちょうどそんな項があったな」
と思って見たら、
まさに 今の状況と同じことだった。
「無意識にちゃんと学んでいたのだな」
と思う。
「ずいぶん上手になったのかも」とも。
今月は、山を歩き、海を見て、石を拾い、
俳句っぽい詩も作ってみた。
翡翠の波 （～糸魚川市青海海岸にて～）
砕ける波は翡翠色
底なる玉を守りて現われし 奴奈川姫
和の民、縄文の民の祈り
※奴奈川姫・・古事記や出雲風土記などの古代文献に出てくる高志国の姫。
万葉集にも作者不詳で「沼名河の底なる玉・・・」と詠まれている。翡翠を守る女神とも
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［BIG ME club 内藤景代公式サイト］
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