NAYヨガスクール体験記 115 小林和之 |
サボテンの花 |
サボテンが枯れた。 日当たりの良い我が家の縁側に 長いこと住まっていたサボテンだった。 次第に小さくなりながらも 持ち堪えながら生きていたのだが、 しばらく前に気がついたら 干からびた何かのカケラのようになってしまっていた。 どこにでもあるレンガ色の小さなサボテンの鉢植えは、 祖母が育てていたもので、その家を取り壊す際、 一度母の住む実家に持ち帰り、 その後、引越しを転々として、 我が家の庭先に佇むようになったのだ。 面倒見の良い方ではなかったが、 30年以上は 生きていたことになる。 祖母の形見なので、 枯れてしまっことを 悲しくも思うのだが、 ひとつ、またひとつと 手放せていけることを良かった、とも思う。 このサボテンが一度目の引っ越しをして 実家にあり、僕もまたそこで暮らしていた頃、 忘れられない夢を見た。 実家の2階の暗い階段の踊り場で、 まだ若い 10代とも言える小説家の 中上健次に、 サボテンの鉢植えを床に叩きつけられ、 割られるのだ。 僕は激情に駆られて 巨漢の若い男に 掴みかかっていく。 男は 怒りと悲しみをたたえた目で、 されるがままでも なお僕の目を睨みつけている。 けれど 掴みかかった僕の怒りは、 その目を見た途端に 別の何かに変わった。 彼が なぜ そうしたのか のすべてを 瞬間的に理解したからだった。 かといって、 その後の僕に 劇的な葛藤や展開は、起こせてはいない。 中上健次の作品は、 有名な「枯木灘」と 数編の初期の作品しか 読んでいないのだけれど、 僕には、難解で、 ほとんど内容を理解することは出来なかった。 にもかかわらず、 この作品を 3度も読み直しているのは、 単純に 読み始めると 途中でやめられなくなるためにあった。 意味も わからないというのに 不思議な話なのだが、 とにかく 途中で やめられなくなってしまうのだから 仕方がない。 映画にあるような 特別なストーリー展開をする というわけでもない、 それなのにである。 ・・・たぶんだけれど、それはきっと この方の真剣さに 引き込まれていくからなのだ と思う。 枯れてしまった この子からは咲かなかったけれど、 僕は、今の奥さんと出会う頃、 サボテンの花を見ている。 大きく真っ白なサボテンの花は、 行きつけにしていたお店の窓際に 或る日、咲いていた。 それは あの奇妙な形をしたサボテンから咲いた とは思えない 不釣り合いな 美しい大輪の花だった。 サボテンから 花が咲く と思ってはいない僕が、 不思議そうに見つめていると、 店主が、 「私もびっくりしたんです」 と話しかけて来た。 「サボテンって たまに花が咲くんですよねー!」 そして当時、 仕事を辞めたばかりで 新規一転の 暇人だった僕は、 素朴なサボテンの 思いがけない開花に 希望のようなものを感じたのだった。 変なことを言うようだが、 僕はその頃から よく笑うようになった。 もう笑った方が良いと 思ったのだろう。 トゲトゲで 黙ってばかりいるサボテンですら こんなに美しい花を咲かすのだから。 愉快な試みをするのだから。 それからは、 今、ここにある笑いへ、 言葉のマッチを 擦り続ける。 人の輪は、 笑って燃える火を囲んで ひとつの輪になる。 自由な表現は そこから生まれる。 笑いは、 新しいエネルギーと 思いがけない展開を生み出す 最良の装置のひとつだから。 ☆~☆~☆-----------------------☆~☆~☆
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