大きな海の中で、枠に入ったままの青い魚

NAYヨガスクール体験記 112
                     小林和之
点(ドット) 青い罫

 
 帯


「人前で話すのがこわい」
と思ったのは、いつからだろう? 

 小学生の頃はまだ、学級活動などで人前に出て、
話し合いの議長などをやっていたり、
先生の質問に手を挙げて、答えたりといった
人並みなことは出来ていたように思う。

人前で話す場面で、一番最初に
「あれっ?」
と思ったのは、小学校6年生のときだった。


 新聞部の部長に立候補をして、
一言を皆の前で伝えなければならなくなったときに
僕はといえば、
「すばらしい新聞部にしたいと思う」
としか言えなかったのだ。

それでいいと言えば、
精一杯言った言葉なのだからいいじゃないか、
と言えなくもないが、
僕が「あれっ?」と思ったのは、
自分の予定と少し違っていたからだった。


もう少し 周りの人が感心できるようなことを
すらすらと言えるのかと思っていたのだが、
実際には何もなく、話そうとするも何も思いつかず、

自分の中身が空っぽのような気がして、

僕は、はじめて
自分というものにたじろぎ、
そして疑ったのだった。

それは 理想が高いゆえの 落差ともいえるが。



 僕は、あまり積極的に学級活動をしたりする方ではなかったので、
当然人の上に立つこともなく、
人前で話す場面も巡らなかったのだろう。

続く記憶は、高校3年生へ飛ぶことになる。



 何の企画だったかは忘れたが、
担任の先生に その企画をサプライズ的に教壇に出て行う役になった。

僕は、内心「嫌だな〜」と思いつつ、
たいしたことではないと軽く引き受け、
打ち合わせ通り 壇上に躍り出た。

しかし 横を見て 振り返る先生に
僕は、しどろもどろというより
念仏のようにブツブツと意味不明の言葉を繰り出し、
顔は赤面、
困った先生に 変に親切にあしらわれ、
退場することとなったのだった。

当然のことながら
「おまえ  全然しゃべれねーじゃん」
という  クラスメートの声も聞かれた。

自分でももう少しましなことが言えるかと思っていたのだった。


 教壇から降り、
自分の机に着席した後で、

「こんなに僕は、ぼろぼろになってたんだ」

と思った。

つらい高校生活を送っていた
僕の  こころのことだった。

その後も  僕の人前で話すことでの 失敗は続き、
もうすっかり 話すことが   こわくなってしまった。



 言葉って、ひととつながること。

人々や社会と  つながっていくこと  そのものだと思う。

だから  とても大事なもので、
その道具である  言葉は、
世界を構築する上で  人類最大の  道具と言ってもいい。

心が  かたち  と なって現われるのが 言葉だ。

だから  言葉には目的がある。

意識するしないに関わらず、
言葉は意志を孕んでいる。



 『BIG ME〜こころの宇宙の座標軸〜』 内藤 景代・著
でも紹介されている
「マスローの五段階の成長欲求」に
集団欲求
というものがある。


所属し、集団に認められ、
一員として受け入れられていることを望み、求める。

僕は その時期に 失敗していたため、
きっと 人より臆病になり、
貝のように こころを閉ざすことになったのだろう。

深い海の底に沈んだ貝に 
僕は、僕のこころを閉じ込めた。

光の届かぬ海の底には、
気味の悪い 魚の姿や幽霊船の類いしか
沈んでいないというのに。



 しかし 時は流れ、
海の底の 沈殿物になりかかった頃、
僕は、仕事なるもの を始めることとなった。

そう、人と関わり、
そして人前で話さなければならなくなったのだ。

ここから 人前で話す恐怖 との戦いが始まった。


たった一言を 言う 自己紹介が 深刻な苦痛を生み、
人前で かろうじて 名前を言えることもあれば、
頭が真っ白になり、
大勢の人の前で、
2〜3分 黙ったまま 凍結したこともあった。

その時は、もはや 動揺を通り過ぎて、
焦りもせず、静寂のなか、
怪訝な目で見る みなさんの顔を まじまじと見るという
不思議な心境にまで 上り詰めてしまった。



 その後、数百人の前での司会、
何度となく行うこととなったプレゼン、
会議での発言やジョーク、 懇談会の進行。
セミナーの講師。

と 眠れぬ夜を 過ごしながらも 
果敢に臨んでいった方だと思う。

不思議なものだが、
慣れてしまうものだ。



今では  人から、

「人と話したり、人前で話すのが上手な人」

と誤解されている。

「昔は 何も 出来なかったんです」

と 言っても 誰にも 信じてもらえない。



 何が言いたいのかというと。
こんな人でも、場数を踏みさえすれば、
人前で話し、語り合い、交流し、議論することを
楽しめるようになるということだ。

僕はといえば、
人前で話すことを
「時に楽しみに思う」など、
まず考えもしなかったのだから。



 ひねくれていたわけでもないと思うのだが、
子どもの頃の僕は、
壇上に上がるような人の話しなど ほとんど聞いていなかった。

特に 学校の先生の話には 印象が薄く、
何も こころに残っていない。

素直に つまらなかったのだと思う。


だから 僕にとって、はじめて 人前で話す人の姿を見たのは
景代先生だったと言っていい。

無意識を自由に解き放ち、
深く広く縦横無尽に展開する言葉のエネルギー
というものをはじめて知ったのだ。

自我と無意識との葛藤から生み出された言葉と
そうでない言葉は、まるで別物なのだ ということを知った。

景代先生の話し言葉は、
有機的につながる 何かの 大きな生き物のような気がしている。

何物か 大きな作用とつながっていると。

伝える言葉に、
人を成長させようとする 意志が宿っているからだろうか? 

それとも生命というものは、
そもそも成長への葛藤を望むものなのだろうか? 

僕にはまだわからない。

けれども 景代先生の言葉を通して、
現実に立ち現れる そんな願いの力を、
僕は、何度となく知ることとなった。


 今、この場所から、
気負うことなく、
言葉を通して、響きあう 人と人とのこころの作用を

楽しんでいきたい。

笑い合い、
すったもんだ も する その場は、
一期一会の 有機交流電燈の実験場だ。

「僕」というものが、
他者や 集う人々と ともに
有機交流電燈を 瞬かせていく。

たいした 灯りでもないかもしれないが、
つながりの帯は、きっと深く広い。

たったひとりの自我と無意識との葛藤が、
意志を持った言葉を生み出し、
今、ここから帯のように世界をつないでいくのだから。

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NAYヨガスクール体験記 112  「 帯 」

※追記: 内藤 景代 (ないとう あきよ)記

《 景代先生の話し言葉は、
有機的につながる 何かの 大きな生き物のような気がしている。

何物か 大きな作用とつながっていると。

伝える言葉に、
人を成長させようとする 意志が宿っているからだろうか? 

それとも生命というものは、
そもそも成長への葛藤を望むものなのだろうか?  》
はい。

そうですか…。
本人の わたしには、よくわからない…のですが((笑))

いただいたメールで「帯」というタイトルを見て、
「おび?」
どんな お話なのだろう? と想っていました。

拝読して、壮大なこころ(心)の“もの“がたり
を 感じ、「帯」で みんな つながっている‥‥
と 《共感》しました。

「あれは、わたしのことだ」
という普遍的なお話(世界の物語)
成長物語(ビルドゥンクス・ロマン)
を観じました。

今月[内藤景代の瞑想フォト・エッセイ]9月の写真には、
カラスウリ(烏瓜) 白い花〔変化〕成長物語を掲載。


また、今回も【意味のある偶然=共時性(シンクロニシティ)=シンクロ】
響きあっているように感じて、楽しいです((笑))


2020年9月1日(火)[内藤景代の瞑想フォト・エッセイ]記
http://www.bigme.jp/20-9/20-9/20-9.html

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