NAYヨガスクール体験記 109 小林和之 |
ウンタマギルー |
しばらく前、仕事で沖縄に行く機会があり、 久しぶりに飛行機に乗って海のある島国に行った。 仕事の合間に 伊計島という場所にあるビーチに行ったのだけれど、 遠浅の海がどこまでも広がり、奥へ行くほど海が澄み、 砂浜の貝殻たちが白く美しく輝いている。 新婚旅行で行ったオアフ島も こんなにきれいではなかった気がする。 貝殻も 透明なガラスらしき光るものも 丸みを帯びていて、 寄せては返す波や泡にも 数億年来の天然の曲線が描かれては、消えていく。 波打ち際を歩きながら 「海へ還って来たな」 と僕は思った。 波の音や 砂浜に描かれる いくつもの曲線を見ながら、 そう思ったのだった。 遺伝子のどこかに、海を懐かしむ何物かの時代が 埋め込まれているような気がした。 家で帰りを待っている 子どもたちにあげよう、 と白い貝殻たちを拾う。海のお土産に。 「わ〜すご〜い! でも パパずる〜い!」 と言う声が聞こえるようだ。 ビーチへ降りる 森の通り道に 何か果物の熟れた匂いが立ち込めていた。 見慣れない 砂だらけの果実の破片があたりに散らばっている。 食べ残しだろうか? 沖縄の森には キジムナーという妖精が棲んでいるらしい。 あの頃の ウンタマギルーは,今もまだこの砂浜を歩いているのだろうか? 眉間に槍を打ち込まれたまま。 精神的にかなり苦しんでいた頃、 小林薫 演じる この映画「ウンタマギルー」を 僕は、観た。 意味の分からない 難解な映画であったが、 見ている間中、僕は、ゾッとして 息も絶え絶えであった。 繰り返す波音のなか、 眉間を 槍に貫かれたまま 彷徨い歩くウンタマギルー。 空を飛ぶ力を失ったウンタマギルー。 それは 見紛う ことなく僕の姿であったから。 三線が響く。 「ウンタマギルー 死んでしまうのか!?」 と 妹を演じる 戸川純が呼びかける。 僕は、もう その声の切なさに倒れそうであった。 未だに あの映画の 意味はわからない。 ただ 沖縄の民の悲しみが、ウンタマギルーに宿っているのを感じていた。 それゆえに 僕のようなものに 理解出来る訳がなく、 触れてはならぬものに触れているようで、 けれど 海岸を彷徨い歩くウンタマギルーへの 強烈なシンパシーに 抗いようもなく 飲み込まれていくのだった。 沖縄は だから、こわいような気がして、 来ることがなかったのかもしれない。 しかし 今はどうだろう? 青い顔をした ウンタマギルーを恐れながら、 こうは なりたくないと 思いながら、 もう あの頃の僕とは違う気がする。 それとも ただの開き直りだろうか。 槍で貫かれたまま、やはり海岸を彷徨い歩きながら、 どこへも辿り着けそうもない。 けれど こころが、もう 目を見開いていいだろう、と言う。 言葉に変えて いいだろう、と思う。 おまえはウンタマギルーなのだから、と。 ☆~☆~☆-----------------------☆~☆~☆
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