大きな海の中で、枠に入ったままの青い魚

NAYヨガスクール体験記 108
                     小林和之
直線上に配置

 生命の女神

 日により波はあるものの
少し体調が恢復して来たように思う。

たまたま職場の異動も重なり、
面倒ではあったけれど、それが功を奏したのだろうか。

うまく言えないが、
疲れのようなものがスーと解けたように思う。

出会う人も皆、良い人で、心から感謝している。



 いつも思うのだが、
僕は、不思議といつも良い人に巡り会う。

どこへ行っても、かならず
誰かが 助けてくれることになるのが
不思議でならない。

もちろん対比するように 悪質な人にも会うが、
これは,そもそも深入りする方々ではないので、
淡々と  ないことにして  何とかしている。

世の中は、新型コロナウィルスで慌ただしかったり、
静まり返ったりしているが、
空は青く、空気は澄み切っている。

もちろんこの身は、人の世と共にあり、
僕は、僕の役割に 歓びを見出しながら
勤しんでいるのだけれど、
一方で  巡る春の匂いや彩りに
こころは奪われている。

人の世の慌てぶりも、
工場の閉鎖も、証券市場の阿鼻叫喚も、
我関せずと春は巡る。


 昔、景代先生が、教室で印象的なことを言ったことがあった。

「いずれ、年を取ってしわだらけになり、おばあさんになるのだから、
美しい人を美しいというのは  無駄なことだ、
という考え方(諦観)があるが、
私は そうは思わない。
きれいなときには、きれいと言えば いい」

教室の女性指導員をさして、そう生徒さんに語ったのだった。


 僕はといえば、
「そういうものなのかな?」
と聞き流していたはずなのだが、
思いがけずこころに残ったままだ。

 人間というものは、
およそあてにならないものだけれど、
僕は、案外 この言葉を大切にしていたようだ。

それはたぶん、今あることを楽しみ、喜び、たたえていくという、
いたってシンプルなエネルギー燃焼装置となりえる発想なのだろう。



 様々な時間軸を生きながら、
今あることを喜んでいる存在になれたのなら、
今、生きていることを愛しく、
さらに愛するものも広がっていきそうな気がする。


 自分の意識と自分のからだを丸投げして生きている人間の魅力には
誰も敵わない。

地球は  自分と出会う人々との実験場だから。

地球は、自分を知ろうと実験するもののためにあるから。

いや、訳もわからず  突き動かされた行動のあとで、
勝手に知ることになるのだろう。

宝石のような命の現われ。
むき身のこころ。

今を生きようとする人に、生命の女神は微笑む。 


 景代先生から教わったことを、
僕は、世の中に少しでも還元しているだろうか? 

ときどき そんな風に 自分へ問う。


 人は、理解されて  はじめて  心を開き、
理解されぬ体験から  個であることを  学んでいく。

この繰り返しが絢となり、織りなされ、
ひとり一人の  こころの仕草や表情もまた、
野の花や季節の移り変わりを施しながら、
人と人をつなぎながら、織り込まれていく。



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NAYヨガスクール体験記 108  「生命の女神

※追記: 内藤 景代 (ないとう あきよ)記

人は、理解されて  はじめて  心を開き、
理解されぬ体験から  個であることを  学んでいく。

はい。
おっしゃるとおりだと 想います。

和之さんの「NAYヨガスクール体験記」が
今回で、【108】回め ですね。

仏教では、煩悩(ぼんのう)の数は【108】あるといいます。
それで、大晦日には、除夜の鐘を【108】回ついて、
梵鐘(ぼんしょう)の【音と響き】で浄化されていくことを祈り、
新しい年を迎えます。


煩悩(ぼんのう)の大きなもののひとつは、
美女への愛、執着なので、
それを「断・捨・離」するための修行がいくつもあります。

美女が死に、死体が腐乱していく過程(プロセス)を
冥想(瞑想)する修行などをして、
諸行無常 すなわち、すべては〈変化〉する】と、諦める

また、美しい肉体も「汚物を入れる皮袋」と 瞑想=観想する。

悟り・覚り(さとり)をひらこうと猛修行した、
東洋大学  印度(インド)哲学 倫理学科卒業の
若き日の坂口安吾
は、
水をかぶったり、上記の 瞑想=観想をして、
結果として  ノイローゼ(神経衰弱)になりました

このお話を、東新宿のレッスン場所でしたときに、
今回のお話が出たわけです。
美女を愛し、煩悩を肯定する、坂口安吾のたましい(魂)の決意

☆かつて、「花が美しいなんて想えない
とコワイ顔をしてわたしにおっしゃっていた和之さん。
花が綺麗だ、なんて だれが決めたんだ
と、怒って(おこって)いた20代の和之さん。

・・・変わりましたね((笑)) すてきです。

今月は、☆初夏の空と新緑、花をいっぱい
[瞑想フォト・エッセイ5月]に掲載しました。
【生命の女神】からのギフト(賜物=贈り物)を、わたしも感じます。
楽しんでいただければ、幸いです。

2020年5月1日(金)[内藤景代の瞑想フォト・エッセイ]記

http://www.bigme.jp/00-20-5/20-05/20-05.html

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