「川を上れ、海を渡れ」という言葉を聞いたのはいつだったか。

「川を上れ」は、
「歴史は繰り返す」の至言の通り、
国家と人間の歴史の中から、
時代の流れやパターンを考察し、
今、ここにある状況を
アナロジカルに読み取っていくこと。

つまり  時代という川をさかのぼり、
歴史から浮かび上がる  普遍性と
現代に孕む様々な情勢を重ねあわせ、
正しく理解する。

きっと  そこには、
たくさんの物語が 隠されていることだろう。

僕は、それらを照らしてみたい。


　「海を渡れ」は文字通り、
広いフィールドへ出て、
他者と出会うことだろう。

海の向こうの世界。

触れたことのない文化や思想。

新しい文化的潮流もあれば、
生活の中に溶け込み、
連綿と続いている  風土と一体化した慣習などもあり、
どれも興味深い。

他者と出会い、
新鮮な知見を得ることで、
世界は広がっていく。



　「川を上れ、海を渡れ」



　縦糸と横糸を紡ぐような、
このシンプルな言葉から、
次を始めようと思う。


　ＮＡＹヨガスクールの東新宿の教室に置いてある
ギリシャクロスが脳裏に浮かぶ。

以前にも話したことがあると思う。


東新宿の教室に　いくつも立てかけられてある

ヤントラのなかから、

好きなものをひとつ選び、
冥想する時間のことだ。



僕はその日にかぎって、
何故かギリシャクロスが気になってしかたがない。

そう言えば　僕は、
ダビデの星よりも
太極図よりも
ギリシャクロスが、
一番の苦手だった。

磔(はりつけ )になるようで
何か　少し　こわかったのだ。

そのギリシャクロスだけが、
教室の空間に
何故かくっきりと　浮かび上がるように輝いて見える。

景代先生も、生徒さんたちも　指導員のみなさまも皆、
カーペットに座って足を組み、
目を閉じている。

その静まり返った教室の隅で、
畏れのようなものとともに、
いっそう輝きながら浮かび上がる
ギリシャクロスを
僕は、見つめていた。

理想と現実、
肉体と精神、
縦と横の交差する
その場所から　生み出される　響き。

「言葉」　ギリシャクロスは　こう言った。

「ここへ来い、わたしを　怖れるな」


　その声は、景代先生の声のようにも思えた。


　僕は　その声を聞いたあとから、
ずっと　言葉を手放していない。

生の実験に　言葉を選び、
言葉とともに
挑戦を　繰り返すことに決めたから。

どんなに些細な事柄にも　言葉を積み重ねた。

けだるく混沌とした沼地に迷い込み、
堂々巡りもよくしたけれど、
夜の森に輝く星を探した。

こころの地図を信じて、
言葉とともに　勝機を探った。

言葉を奪おうとする者たちに　　取り囲まれたこともあった。

命からがら　僕は逃げた。

けれど　胸に抱いていた赤ん坊は、黒く変わり、
気がついたときには、
亡くなっていた。


汚れた布にくるまれた　赤ん坊。

亡骸となった赤ん坊を　手に取ろうと、
悲しみとともに　汚れた布をめくっていくと、
死んだはずの赤ん坊は、
突如輝き、
生気に満たされて
笑っているのだった。

それが僕の言葉だ。


　中学生の頃、
僕は、自室の部屋で、
外国の映画や　音楽のレコードをよく聴いていた。

部屋の窓からは、
少し街を見下ろせる。

僕は、確立もされない自我とともに　
ひとりで　小生意気な考えごとをしている。

孤独に似たものは、
悪いものではなかった。

オーディオから流れる　外国の音楽のように
いい匂いのする風に似ていた。

はじめての孤独に似たものは、
心地よい風のように　僕に教えている。

「人と出会うことだよ」と。

期待は、いつも人を求めて　訪れる。

小さな小舟をゆらして、教えてくれる。

☆~☆~☆-----------------------☆~☆~☆　　
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「ＮＡＹヨガスクール体験記　101  「川を上れ　海を渡れ」

※追記： 内藤 景代 （ないとう あきよ）記

《悲しみとともに　汚れた布をめくっていくと、
死んだはずの赤ん坊は、 突如輝き、
生気に満たされて笑っているのだった。
それが僕の言葉だ。》

●はい｡《それが僕の言葉だ。》と、
“言葉”を守ったのですね。

アンデルセンの『人魚姫』は、地上を歩く【足】と
【引き替え】に、【人魚の“言葉”】を失いましたが…。

あなたは、自分で立つ【足】をもち、
奪おうとするものから“言葉”を守った……
一度、死んだはずの赤ん坊だった“言葉”は
甦（よみがえ）り、《突如輝き、 生気に満たされて
笑っている》

【これからです】ね。

“言葉”は人と人を結ぶものです。
あなたは、ひとりじゃない。
自分の【足】で立ち、“言葉”を使って、
新しい世界に踏み出してください。
「川を上れ　海を渡れ」
応援しています。

好きになったとおっしゃる　ギリシャ・クロス(＋)。　
ギリシャ・クロスは、縦(｜)と横(―)の長さが【同じ】です。

理想などを象徴(シンボル)する縦(｜)が長い
｢ラテン十字架(クロス)｣とは、そこがちがいます。

今のあなたに、次のヤントラを贈ります。
「ヤントラ　ギリシャ・クロス　
　　４面　座標軸　潜在能力」（内藤景代・作）

「ヤントラ　変わる自分と、変わらない自分。
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「ヤントラ　ギリシャ・クロス　４面　座標軸　潜在能力」　内藤景代・作

☆今月は、共時性（シンクロした事象）的に
「秋空と雲-1 縦(｜)と横(―)がつくる十(クロス)」
「白い蔓草（つるくさ）、仙人草（センニンソウ）」なども掲載しています。
縦(｜)と横(―)の瞑想としても　どうぞ。


★★ＮＡＹヨガスクールの東新宿の教室
→2015年にレッスン場所が〔東新宿〕から〔西新宿〕に移転しました
→お話はこちらへ
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東新宿・教室　に立てかけられていた　「正面の瞑想的な飾り」　
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『聖なるチカラと形･ヤントラ』 内藤 景代･著　実業之日本社･刊  ↓↓
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2019年10月1日（火)[内藤景代の瞑想フォト･エッセイ]記
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[瞑想フォト･エッセイ]　 内藤 景代(ＮＡＹヨガスクール主宰)
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