大きな海の中で、枠に入ったままの青い魚

NAYヨガスクール体験記 94
                     小林和之
直線上に配置

機織り


 目に見えない世界、
かたちのない、
捉えどころのないこころの世界は、
ある意味、
どんなでたらめな創作も
可能な世界だ。

18歳のとき、
景代先生の「冥想〜心を旅する本〜
に出会うまで、
僕は、
かなり奇妙奇天烈な
精神世界の本を読みあさっていたように思う。


 魑魅魍魎のうごめく風な
おどろおどろしいものから、
哲学的に思えもするが、
つまるところ僕のこころに残るものと言えば、
薄気味の悪いニヒリズムでしかなかったり。


 そして、深い精神世界を理解したつもりになって、
いずれ悟りを開くことを前提に、
かなり無理をして、
市井の人々を見下していたのだろう。

愚鈍な大衆たちが、
苦しい受験をしたり、
嫌なことを我慢して働いたりするのを
ひがみ感たっぷりに
「無意味」
と切り捨てていた。


 ここになら、
僕を高めてくれる何かがある。

悟りを開けば、
僕は、ほんとうの意味でえらくなる。

競争原理も
世の中の
どんな即物的な価値観も近づけない。


そうしたら
見返してやることが出来るんだ。

みんなが、受験をしたり、
大学へ進み、サークルに入って、
友だちや恋人が出来て・・・、

そんなものはいらない。

必要もない。

奇人だろうが、
変人だろうがかまわない。

僕は
特別なものを与えられる(予定の)人間なのだから。



 けれど、そうなのだ。

歪んだ鏡の中に映る
僕の顔はこう語っていた。

「・・・みんなと同じように
    与えられるはずのものが僕にはない」

「なんで  僕だけ  ないんだ!」


それを認めたくなくて、
逃げ込んだ心の世界。

光の差し込まぬ  闇のなか。

僕のほんとうの顔は、
歪んだ鏡の中で、
きっと悲しい顔をして
映り込んでいたにちがいない。



 人間の成長には、
順序がある  ということだ。

満たせなかったものを  満たし、
与えられなかったものを  求め、
もう一度、
勇気を出して、
手に入れるべく  試みる。


うまくいく  行かないに  関わらず、
ひとつ  ひとつ  自分の求めのままに  
正直に考え、行動し、結果を積み重ねる


という地道な手順に  乗っとって  紡いでいく。

昔ながらの機織り機が、
パタン、パタン、ギィーギィと音を立てて
紡錘いていくように。


理想へ向かう縦糸は、
現実の横糸に紡がれ、
はじめてこの世へ模様を描く。

我と我々の模様となって。



 昔、景代先生に勧められ、
唐十郎の「少女都市からの呼び声」
という劇を観に行ったことがあった。

新宿梁山泊の金守珍が、
演出、出演していて、
当時の僕の心に深く残るものであった。

 劇をご覧になった生徒さんのなかには、
理解がうまく出来なかったのか
「学芸会のようだった」と酷評する方もおられたが、
僕にとっては 今もなお、
かけがえのない作品のひとつとなっている。



 [ガラス]に変わっていく少女。

妹を探す旅に出る男。

奇妙な立ち回りで観客の度肝を抜き、
登場人物のなかでひときわ異彩を放つ  
フランケンシュタイン博士


「あの博士は  
いったい何の象徴なのでしょう?」

わからなかった僕は、
教室のレッスン中に そう 景代先生に聞いた。

自我よ」

景代先生は、そうお答え下さった。


 僕は、そのとき、はじめて
自我というものの輪郭を見たような気がした。


 実のところ、僕には、
思いもしなかった答えだったのだ。

そしてハタと思った。

自我というものは、
そもそも自分のため、
自分では、なかなか
気づけないのかもしれない




 人間の  内面の変化って
どんな風に起こるのだろう? 

気づきって、
どうして起こるのだろう? 

いったい誰が、気づいたのだろう? 

何のために  気づくのだろう? 

そして気づくことで、何がはじまるのだろう? 



 以前にも語ったが、
冥想〜心を旅する本〜
をはじめて手に取り、
本屋で読みはじめた僕は、

「この人の本て  こわくない」

と、そう思った。

ふっと   こころが、息を抜くように
そう思ったのだ。

ほっとして、
思わず漏れた
鮮明なる  こころの声を聞いたそのとき、
僕はそう、気づいたのだ。

ほんとうは、
嘘をついていることに。

フランケンシュタインに
隠され、
無理をしている自分に。

一生懸命   加工し、
手を入れたはずの歪んだ鏡は、
いとも簡単に割れ、
崩れ去ったあとの

透明な水面には、
まだ  幼い僕の顔が映っていた。


素のままの僕は、
まだ、何と  あどけなく、

人に愛されることを  望み、

また、誰かを愛することを 願っているのだろう。



 そして、「冥想〜心を旅する本〜
を手に持ちながら、
たぶん僕はこう思った。



 「・・・こっちのほうがいい」



 ふと、僕を、正気に  戻らせる作用が、
景代先生の「冥想〜心を旅する本〜」
にはあったのだと思う。

そしてこの気づきから、
紆余曲折、
とりもなおさず  光の方へと、
病んだ僕のこころは、
恢復への歩みを始めたのだった。

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NAYヨガスクール体験記 94  「機織り

※追記: 内藤 景代 (ないとう あきよ)記

☆【意味のある偶然=共時性(シンクロニシティ)】で、
今月の[内藤景代の瞑想フォト・エッセイ]には、
【白と赤の錦鯉(にしきごい)の鯉文字(こいもじ)】で、
「横(―)と縦(|)」の写真を掲載
しています。

横(―)と縦(|)に、機織り(はたおり)のように、
糸を織りなしていく、こころ(心)の旅。

こころのトリップ(TRIP)によって、
小さかった自我は、育っていきます。

外に向かい、内に向かい、
縦(|)、横(―)に織りなして、
|―|―|―|― |―|―|―|―
そのひとの[こころ模様]の布ができていく。
++++++

『冥想(瞑想) こころを旅する本 マインド・トリップ』
内藤景代・著 実業之日本社・刊には、
わたし・内藤景代が ほぼすべてのイラストを描き、
瞑想(冥想)でみえてくる世界と
その波動や波長(波調)が伝わるようにしました。

「この人の本て こわくない」

と書いてくださって、うれしいです。

どろどろしたおどろおどろしい精神世界の本が、
その頃の「世紀末に、世界が滅亡する」
という予言を信じている人が多かった1980年代には、
とても多かったからです。

時代の大きな潮流の中で、
小さな笹舟(ささぶね)のような本、
『冥想(瞑想) こころを旅する本 マインド・トリップ』
が、和之さんのお手もとに届いて、
物と心が共振する〈偶然〉を感じ、うれしいです。

その後、本も、新書から大きな四六版になりましたが、
オフセット印刷なので、わたしのイラストはそのまま
使用されました。 カバーの変遷は下に↓↓↓↓

『冥想(瞑想) こころを旅する本 マインド・トリップ』 内藤景代・著 実業之日本社・刊

『冥想(瞑想) こころを旅する本 マインド・トリップ』内藤景代・著
実業之日本社・刊
http://www.yogamindtrip.nay.jp/


☆唐十郎の「少女都市からの呼び声」
は、新宿梁山泊の金守珍が演出し、出演して、
何度も再演しています。毎回、すこしずつちがう。

ネタバレになりますが、ラストの無数のカラフルなビー玉が、
流れ落ちてくるシーンは、今でも目にうかびます。

肉体が[ガラス]になって透明になっていく少女の涙のよう…

〈たましいの女性形〉である魂(アニマ)の涙。。。。


☆唐十郎・作の芝居や、新宿梁山泊のお芝居のお話は、
こちら と  こちらへ

どれも、理屈っぽい「固形的な意識」は、骨抜きにされて、
渦巻く「流動的な意識」に変換されていく…体験をします。

http://www.bigme.jp/00-0-01-2-essay-news-2002-08/2002-08-17/2002-08-17.htm

http://www.bigme.jp/000-000-03-07/03-07-01/03-07-01.htm


☆唐十郎・作『唐版 風の又三郎』については2003年にかきました。
【「ヤントラ 金剛」の4段階の変化】パターンを、
お芝居そのもに対応させています。
瞑想的にみてください
こちら↓↓↓
http://www.bigme.jp/000-000-03-07/03-07-01/03-07-01.htm

その『唐版 風の又三郎』は、
今年2019年の2月8日から3月3日まで、
渋谷のBunkamuraシアターコクーンで[上演中]です。
金守珍が演出・出演して、六平直政も出演しています。

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NAYヨガスクールのポリシー(創立理念) NAY SPIRIT IS BODY TRIP & MIND TRIP to SOUL in HEART  
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NAYヨガスクールの精神(スピリット)は 心と体の旅により ハートにある魂たましいに出会うこと   since1976  こちらへ    http://www.bigme.jp/nay-logo-hito-mark.htm
  
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[内藤景代の瞑想フォト・エッセイ]

[瞑想フォト・エッセイ]  内藤 景代(NAYヨガスクール主宰)
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【◎ 9人のヨガ体験記―NAYのヨガで得られるもの】
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NAYヨガスクール(内藤景代 Naito Akiyo主宰)since1976

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