NAYヨガスクール体験記 83 小林和之 |
ウーマン |
春だから、また新しいことを始めようと思う。 花粉症がひどくて、いつも苦手な季節だけれど、 新しいことをする節目には、ちょうどいい。 組織で働き、 個人で起業という忙しい毎日に身を置いているけれど、 ここで少し、ヨガをする僕に還ろう。 「そうしたい」と、 もうひとりの僕が言っている。 ゆっくりとした時間に身を委ね、 こころとからだの声に耳を澄まそう。 起業して2年が経とうとしている。 昔は、まったく受け付けなかった自己啓発の本を むさぼるように大量に読み、 あれこれ思索に耽ったり、実行に移したり、 現実に向き合う社会の場を舞台に、 悩みながら進んで来た。 しかし実のところ、仕事の自覚など、ほとんどなく、 ただ面白く充実して進んで来ていたに過ぎない。 実際、○○の成功法則や自己啓発系の類いを試していると、 そのうちのいくつかには、明らかな効果があった。 充分に脳科学的な根拠のあるものは特にそうだった。 自分の願う環境や材料が与えられ、展開されて行くのだ。 「思い通りに行く」のとは感触としては少し違うのだが、 状況が展開し、与えられ続けていることに違いはない。 ただここに来て、 一時立ち止まろうと思う。 いや、相変わらず進むのだが、 何かの埋め合わせをするように、 目を閉じて、 こころの声を紡ぐ作業をしようと思う。 そうした方がいいと こころの声が言うからだ。 景代先生が昔、レッスンで面白いことを話されていたことがあった。 僕はこの言葉をよく憶えている。 「ポジティブ! ポジティブ! と、どんな時もポジティブ、 と言っている自己啓発の好きなサラリーマンの人が多いけれど、 ポジティブなだけではだめで、 こころのマイナスの面ともよく向き合わないと うまくいかない」 景代先生はそう言った。 僕は、そのときの景代先生の話し方が面白くて、笑いそうになった。 「ほんとうにそういう人ってよくいる」 と思ったのだ。 そう、それは他でもない、僕のこころの中にもあった。 それがよくわかったのでおかしくなったのだ。 自分を知る、とは何だろう? ほんとうの成功や幸福とは何だろう? ポジティブ・シンキングは、あってよいことだけれど、 その答えにはなれない。 目的と手法は別のものだからだ。 僕は景代先生の言葉の中に 女性的なリアリティを感じたのかもしれない。 生きることそのものが、甘美な目的であれば、 ポジティブ・シンキングなど本来不要なのだ。 欲望と煩悩に翻弄されやすいためか、 僕は、それに近づいて行きたい。 ただの僕に満たされていたい、 と、ときどきシンプルにそう思うのだ。 釈迦は「歩くために歩くのだ」と言った。 「人生は甘美なものだ」とも。 釈迦はきっと成功法則や拡大路線には興味を持たなかった。 悟りを開いているからだと言えばそれまでだが、 女性的なリアリティや たおやかさを兼ね備えた方であったのではないだろうか。 ☆~☆~☆-----------------------☆~☆~☆ ********************************************* |
NEW★1976年創立の「内藤景代ヨガスクール」は「NAYヨガスクール( 内藤景代・主宰)」と名称変更しております。★2015年にレッスン場所が〔東新宿〕から〔西新宿〕に移転しました ★2016年が創立 40周年です。 |