大きな海の中で、枠に入ったままの青い魚
NAYヨガスクール体験記 79
                     小林和之
直線上に配置

 泥の川

 過ぎてしまうと、
時間というのは、
確かにあっという間のことに思う。

光陰 矢の如し。

中学生の頃、この言葉の意味を聞いて
「そんなものなのかな?」
と思っていたが、この年になって、
今は、その通りだとよくわかる。


 先日、もう何年も会っていなかった兄弟たちと久しぶりに会った。
父の法要を行ったからだ。
紅葉で有名なお寺で、
庭のあちらこちらにカメラを構えた人たちがいっぱいいる。
毘沙門堂前の紅葉は、特に美しく、
初老のカメラマンに気を使いながら、
燃えるような紅葉の下を歩き、本堂へ向かった。

両方の拳を当てた「鬼の悟り」と題された石像は、
そこはかとなく面白く、
人だかりの中で、いつものようにポーズを決めている。

 本堂へ入るのは何年ぶりだろう。

遺影の父が若く見えた。

僕と そう年も変わらない。

あの頃、父は父でしかなかった遺影の中の父が、
はじめて若く見えた。

父は、若くして亡くなったのだった。

 読経をあげる前、
お坊さんが子どもたちに紙芝居を読んでくれた。

礼服で、木のイスにお座りして聞く子どもたちと一緒に、
年取った叔父や母も傍らに座り、紙芝居を観ている。

お坊さまは、なかなかの芝居上手で、
朗らかな声が、本堂の中に響く。


 秋晴れの日だった。
33年も前に亡くなった父のことを身近に感じるものは、もう何もない。

お焼香のとき、遺影の父に、僕はひとつ、
僕なりの決意を父に告げ、手を合わせた。


 いつだか母が言ったことを思い出した。

「この間、ひさしぶりにお父さんの夢を見たの」

母は、いつも、そこで会ったかのように

「父の夢を見た」と言う。

「お父さんが魚を釣って戻って来た」とか
「・・それで、あれ〜、お父さんは亡くなったはずなのにな・・・
と思っているうちに目を覚ましたの」

だいたいこれが、定番の終わり方で、
母からは、そんな件を、何度となく聞いている。

しかし母にとって  父の夢は特別なものらしく、
神の啓示に近いものとも感じられる。

「父の夢を見た」

と母が言うと、
しかし僕もまた、はっとして

「どんな夢だったの?」

と身を乗り出している自分に気づく。


 けれどその日、話してくれた夢は、いつもと様相は違った。


「お父さんがね、
田舎のおばあさんの背中におんぶされているの、
私はああ、よかった、と思ったよ。
これでお父さんもほんとうに休まるよ」


 僕は、ある暗闇の中、
田舎の祖母におぶさって眠る父の姿を思い浮かべた。

普通に聞いて、滑稽というか、おかしな想像なのだが、
母からその話を聞いて、
僕の目から、涙がこぼれた。


 そういえばつい最近、
法要の少し前に、
僕も父といる夢を見た。

父と母が前を歩いている。

ふたりの背中を見上げているのだから、
僕は、まだ子どもなのだろう。

左手に泥の川が見える。

土手は高い場所にあり、
僕は川を見下ろしている。

父と母のうしろについて、
ぬかるみの道を歩いている。

言葉は何もない。

台風のあとの川だけれど、
流れは弱く、中州も見える。

こわさは何もない。

ただ茶色い泥の川だけが、
広がって見え、
子どもの僕は、
父と母の後ろをついて歩きながら、
ぬかるみの道を歩いている。

話さずとも
何かのつながりを帯びているように、
父も母も無言でいる。


☆~☆~☆-----------------------☆~☆~☆
*〜・〜・〜・〜*〜・〜・〜・〜*


※追記:
内藤 景代 ないとう あきよ)記

《あの頃、父は父でしかなかった遺影の中の父が、
  はじめて若く見えた。

 父は、若くして亡くなったのだった。

(略)
 秋晴れの日だった。
 33年も前に亡くなった父のことを身近に感じるものは、 もう何もない。

 お焼香のとき、遺影の父に、僕はひとつ、
 僕なりの決意を父に告げ、手を合わせた。》


☆合掌。
亡くなった父上と、深いところで和解できてよかった・・・と、しみじみ想います。

というのも、
十代の頃、和之さんが父上についてお話されるとき、
黒く燃えるような怒りと憎しみの暗い炎を静かに放射
なさっていたからです。
紅く熱い炎ではなく、巨大な敵への醒めたつめたい炎…。
怖い(こわい)ほどでした。

その後、父上についての向きあいかたは〔変化〕なさり、
どんどん、放射される炎は、やさしいオーラになりました。

そして、79回になる、この「NAYヨガスクール体験記」の連載でも、
父上との思い出などかかれ、
どんどん肯定的に〔変化〕していきました。

【みたましずめ】鎮魂(ちんごん)=レクイエムのように。

そして、今回の「泥の川」では、
あなたが、父上をつつんでいるような、
大きなあったかい〃もの〃、愛を感じました。

あなたのこころ(心)も、成仏(じょうぶつ)なさり、
父上も、冥土(めいど)で喜ばれていることでしょう。
あんなに愛していたのに、憎しみばかりをむけた息子から、
深く広く大きな愛を贈られたことに・・・。

「父なるもの」は、のり超えられるべき壁として、
子どもから、憎まれ、わりのあわない立場ですから。
自分のことを想い出して、つくづくそう思います。

 
わたしと父との関係は、以下にかきました。 ↓↓
溺愛され、盲愛とか親ばかとまでいわれるほど
愛された娘ですが、「父の願い通りの生き方」は、
できませんでした・・・。反逆児の反抗…。

女の子は、本など読むな。学問するな。大学いくな
といった明治生まれの、昭和天皇と同い年の
父の教えにすべてそむき
本までかく女の子になってしまったわけです。

その、わたしのかいた本を読んだ和之さんと、
こうして「父たち」の話をするのも、
なにかの因縁(いんねん)でしょう((笑))

「父なるもの」は、
一神教の【啓示宗教】ユダヤ教・キリスト教・イスラム教の
[神]につながります。

それで、わたしは「父との和解」をふくめて、
〔神〕の世界観について以下にかきました。 ↓↓
父のことや、[女神]や[神々]、日本の八百万の神々についてもかいています。

F・ニーチェは「神は死んだ」と語りましたが、
「《氣》の波動としての神」は、今も生きていますから。


今月は、救い主(すくいぬし)イエス・キリストが
生まれたとされる、クリスマス(Christmas)の月ですね。
3人のお子さんの父上である和之さんは、
サンタクロースの役をなさるのでしょうか?

奥様はじめ、ご一家のみなさま、
よいお年をおむかえくださいませ。合掌

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【2015年5月1日(金)
「女の子は、本など読むな。学問するな。大学いくな」といった明治生まれの、昭和天皇と同い年の父の教えにすべてそむき・・本までかく女の子になりました…。
今年の誕生日で父が亡くなったのと《同じ》69才。まだまだ、未熟で幼いが、のびしろがまだ、あると前向きに考えて、新天地で、新しい生活。「まだまだ、これから」《★☆花や木、雲や水、鳥や魚、猫の瞑想=観想☆★》◎ 枝垂れて、並ぶ鯉(こい)たち◎ 風に吹かれる、鯉たち◎ 風をはらみ、翻る(ひるがえる)鯉たち◎ 「あー」で吐く。口を縦に大きく開ける緋鯉(ひごい)◎ ヤマフジ(山藤 やまふじ)とアオサギ(青鷺)◎ いろいろな樹木にからまり広がるヤマフジ(山藤)◎ 不敵な面魂(ふてきなつらだましい)の白黒覆面猫】
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