NAYヨガスクール体験記 78 小林和之 |
影 |
何を言っているのだろう? 僕は この者と ともにあらなければならない。 そう僕に、支配的に語りかける 声がある。 僕は、この者とともに 理屈抜きに歩いて行く。 その先に何があるかは知らない。 それは、もっとも暗い力でもある。 行かなければ、戻らなければ、 そう思う心とともに導かれて行こう。 杖を持つ ほっかむりをしたこの男に。 夕闇に沈み込む黄泉の街のなかへ。 冷たい空気の底に。 懐かしさと悲しみの底に眠るその場所へ。 僕は呼ばれている。 僕を迎え入れることのない家に。 誰もいない家があの日のまま時を止めている。 線路に近い、大きな桑の木のある砂利道。 一度だけ夏の風に木々の葉が翻った。 駅の灯が夕闇の空に映る。 停車する電車の音が聞こえる。 ほっかむりをした案内人の男は、 その家の前に立ち、振り返った。 そしてカンテラのような物を一回しすると消えた。 「時間と空間をゆがめることが、人には出来る」 残像のような声が聞こえている。 天使に導かれる者か、 それとも死神なのか。 あれはそうだ。 昔、 景代先生から頂いたカードの絵にいた人に似ている。 ほっかむりをした男のすぐ後ろに天使がいて、 男の頭上に光を載せた手を掲げている。 シャーマンは何かを見ている。 天使の手に掲げられたメッセージを見ているのか。 それとも不吉な予言を囁かれているのか、 どちらにも思える絵だった。 不思議な絵。 かなり前の話だけれど、 景代先生は、その絵をさして、 「あなたのようね」と言った。 ほっかむりの男は、何を見ているのだろう? 景代先生から、 ちょっとうれしくなるようなそんなことを言われたのだが、 僕には、由来となる憶えもなく、 自分とは、隔たりを感じていた。 僕は、その絵を見ながら、 男の頭上に光のような物を掲げる天使と、 ほっかむりをした男の顔がそっくりだと思った。 本来、ふたりは ひとつのものと思った。 ☆~☆~☆-----------------------☆~☆~☆ ********************************************* |
NEW★1976年創立の「内藤景代ヨガスクール」は「NAYヨガスクール( 内藤景代・主宰)」と名称変更しております。★2015年にレッスン場所が〔東新宿〕から〔西新宿〕に移転しました ★2016年が創立 40周年です。 |