大きな海の中で、枠に入ったままの青い魚
NAYヨガスクール体験記 55
                     小林和之
直線上に配置

コンプレックス 4


 いじめ、
という不条理な境遇に僕は、ひとり、
息をひそめて、生きていた。

その営みが
自分に出来る精一杯のことだった。

「生きていることがいけない」と、

そう突きつけられている人は、
自分が動物であるということを
必要以上に知る。

(学校の)教室で、息を吸い、息を吐いている。
ただそれだけのことなのに、

呼吸をしていることがいけない、
生きようとしているおまえはおかしい、

と言われているような気がしてならなくなるのだ。

しかし生きている以上、息はする。

それが動物であるという自分を感じさせるのだった。

 隣のクラスに暴力を振るう人間がいる、
という境遇の事実は、変わらなかった。

僕はひとり、教室にいて、息をする。
おびえる小動物のように。

 立ち並んでいる冷たい背中たちを見て、
僕は、もうほんとうにつらくて、
けれど、何もすることの出来ない

無力な人形だと知って、
またひとり、耳の奥がシーンとする音を聞くのだった。

僕は、しょんもりうつむいていることをやめて、
フラフラと頭を揺らした。

辺りを見回したのだ。

僕のいる現実の世界というものを、
見ようと思ったのだろう。



そして、この冷たい世界は、

僕に
無関心だ

と知った。



そして僕はひとり、
耳の奥がシーンとするようなひとりぽっちを、
静けさに満ちた冷たい教室で、
受容したのだ。

すると息が抜け、
腹の底にどっすり沈殿した苦しみは、
いっとき溶けて消えた。


 休み時間になると、
左3つ前に座る女の子が、
振り向き、
顔に手を当てて、つり目にする。

いつものように僕にそうして欲しいというジェスチャーをしているのだ。

僕はそれどころでないのだけれど、
めんどくさいので要求に応え、
つり目にしてあげる。

すると彼女は、嬉しそうに笑うのだった。


「小林くん、つり目の方がかっこいいよ、整形したら?」

「しないよ」

「たれ目のままでいいの?」

「たれ目じゃないし」

 そんなやり取りを
何度か休み時間に繰り返していた。


 彼女は、この後、
夜の社で、僕の手を握ってくれることになった。

白く柔らかな手は、
一緒にいると伝えてくれた。

・・・僕に裏切られるまで。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
白い花

 長い一日が終わり、
目を閉じて、眠ろうとした時、
僕は、無意識から、
無垢
という贈り物を受け取った。

 夕闇が訪れようとしているのか、
それとも夜の白む、
朝のはじまりなのか。

薄明の梢の上を見上げると、
白い花が咲いている。

よく見れば、それは花冠であり、
樹上に幾重にもかさなりあって咲いていた。

僕はそれを視て、
よかった、
と思った。

夜の旅は終わり、
決意とともにはじまった行いは
、無意識に届けられた。

こころは、空間と未来を結びつけ、
響き合い、
応えは、
やがてこの世にあらわれる。


 苦境を越える時、
僕は、よく、

白い花の咲く夢を視る。

 
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*〜・〜・〜・〜*〜・〜・〜・〜*
※追記;  内藤景代・記

 コンプレックス4 

〔不条理〕な理屈にあわない、いじめ。
耐えられない、くるしいときを、よくしのぎ、
気息(いき)を吐き、吸い.‥‥‥‥
気息(いき)を止めずに、生きぬいてきました。


そのつらさをわかったうえで、いうことですが、
いじめ…だけでなく、
〔不条理〕なしうちにあうことは、
ひとがだれでも、体験することなのです。

〔特別〕な、あなただけでは、ない‥‥。

世界のやさしい無関心

と、A・カミュは言葉にくくりました。

自分がいてもいなくても、
太陽は輝き、世界は、そこにある。

自分がいる、ということ、
自分という存在、
言葉でくくると、
〔実存〕といいます。

わたしは、〔異邦人(エトランゼ)〕のように、
ひとりで、世界にほうりだされている・・

〔実存と孤独〕。

その感覚を、A・カミュは、
『異邦人(エトランゼ)』でかきました。

そして、
「世界のやさしい無関心」
と、A・カミュは言葉にしてつぶやきました。

〔不条理〕を感じるとき、
異邦人(エトランゼ)の感覚や、
〔実存と孤独〕が、身にしみて、
腑に落ちるのです。

そして、自分だけ〔特別〕ではなく、
すでに、同じ感覚を共有するひとがいることに気づき、
〔ひとりでは、ない〕
と感じます。

それを、わたしは、『冥想』こころを旅する本 で、
以下のように、かきました。

和之さんの長年の愛読書になったようで、
うれしいです。
『冥想』こころを旅する本 が縁となり、
この「NAYヨガスクール体験談」すら55回で、
5年ちかい連載で、シンクロ(共感)するかたも多いです。
       ……………………………………

気づいたら、ひとりぼっちだった……

そして、“自意識”がめざめます。

「私」

“自意識”は、自分自身すら、見ることを知ります。

知恵の木の実〉を食べた、
アダムとイブが、裸だった自分に、
気づいたように―

(略)

一度に、たくさんのことが見えてくる。

“ちがい”が、分かってくる。

原始の混沌が、
光によって分けられたように。『冥想―心を旅する本』  初版 新書版 内藤景代・著

‥‥
 家族も、友だちも、みんな、べつのひと―
‥‥ 

おとぎ話は終った―
見知らぬ世界に放り出された
〈異邦人〉の「私」

孤独

気づいたら、ひとりぼっちだった……】

『冥想』こころを旅する本  内藤景代・著新版『冥想(瞑想)―こころを旅する本』 内藤景代著

☆「白い花」は、小さな花と、大きな花を、
今月は掲載しました。こちらへ

あなたは、どちらがお好きですか?

どちらも、好き…?

「みんなちがって、みんないい。」 金子みすヾ

『冥想』こころを旅する本  内藤景代・著
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