コンプレックス

　どこの国のものか忘れてしまったが、
神々の絵
を見せて頂いたことがあった。

それは
恐ろしい顔をしている
神様で、

もう一枚は、
慈悲深い穏やかな顔をした
神様だった。


景代先生は、
この恐ろしい形相の神は、
慈悲深い神の
変化なのだと言う。


　人が今までの自分を乗り越える時、
こころは、痛みを憶える。


その過程で、
物語的な展開とともに
摩擦熱のような痛みを生じさせる。

これは、僕の場合がそうだったので、
もしかしたら
別の脱皮の仕方も
あるのかもしれないが、
穏やかなだけの変化というものを
僕は知らない。

脱皮のその前は、
苦痛を伴うことが多かった。

　２１才の時だ。

僕は
次の段階へ
行く時を迎えていた。


男らしさに固執し、
自分の弱さを認められないでいる
小さな自分を、
僕は、越えなければならなかった。


それは、
僕に取り憑き、
ずっと苦しめられ、
苦しんでいるテーマ
（イメージの複合体＝コンプレックス）
だったのだ。

　様々なイメージの複合体をあやつる
台風の目。

その中心に
鎮座する何物か
（＝BIG ME）は、
男として生まれた僕に、
苦痛を与えるイメージを
送信続ける。

それは、
理想である男らしさとは、
ほど遠いみじめな
過去の自分の姿であり、
取り繕えば取り繕うほどに、
不安でいっぱいになるだけの
ただの僕のこころであった。

　その姿の最たるものは、
「いじめられっこ」
であった僕の過去だ。

「いじめ」や
「いじめられっこ」
というワードを聞くと、
僕は、何かのスイッチを入れられたように
ヒヤリと反応してしまう。

知られたらいけない、
バレたらいけない、
と、平静を装うほどに、
その取り繕いは、
一層わざとらしく、不自然になるのだった。

　僕は、
いじめ、
という言葉を聞くだけで、
劣等感情が沸き起こり、
そのたびに、
怒りや憎しみ、
醜い恨みの感情に落とし込まれた。

これは、
どこかへ逃れようとしても、
口笛を吹いて、
気にしないように取り繕っても、
どうにもならなかった。

逃れようもなく
コンプレックスは、
刺激され、
劣等感情や
憎悪に
苛まれる毎日を送っていた。

たとえ
いじめにまつわるワードを聞かなくとも、
メラメラと心の底から
イメージと記憶が涌き上がって、
「おまえは男らしさなどからは、
　　　　　ほど遠い人間だろう？」
と、そう語りかけられ、嘲笑い、苦しめられる。

「・・・一生消えない傷」
と僕は思った。

そう思うと
さらに憎悪が沸き起こる。

トラウマやPTSDと言った言葉は、
当時は、なかった。

もしくは世間的には、知られていなかった。

心的外傷というように、
こころも物理的に傷つく。

しかし、この傷についての手当法を
誰が知っているというのだろう？　

こころという目に見えぬ世界の法則を、
誰が、ほんとうに知っていて、
そして信じればいいというのだろう？　

この苦しみを誰が止められるというのだろう？　

教科書に書いてあることを憶え、
国家試験に受かったお医者さんであれば
治癒出来るのだろうか？　

目に見えぬ、
実証性に乏しい、
こころの世界。

それゆえ、
魑魅魍魎、
あやしげ、
奇妙奇天烈な思想も
ありにしてしまう、
精神世界の解釈。

　こころの傷の治癒への実証は、
リアリティや
信憑性のある（と思われる）
本人の体験談しかないのではないかと思う。
　
　時間がなくなってしまった。

次月、この続きを書こう。

この後、
僕は、東新宿のレッスン場所・ＮＡＹヨガスクールの教室で、
またひとつ、
こころのしくみ
というものを知る。


化け物を
化け物たらしめているものは、
小さな自己イメージ
に固執する自分というものに他ならない。

まだ
広く深い世界を知らぬ、
知ろうとしない
僕という
今の自分が、
コンプレックス
（＝イメージの複合体）
という化け物を映し出す
幻灯機の役割をしてしまっているのだ。

　本人は、
それどころではないので、
まったく気がつかないのだが、
時を経れば、
苦しみのわけがわかる。

小さな自分を乗り越え、
より大きな自分に
出会うためなのだ。

そして、
これはなんと大きな糧となるのだろう。

なぜなら、
僕という
このこころの現象は、
同じ苦しみにある人の、
こころとともにあることが出来るのだから。


　
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※追記；    　内藤景代･記
　
コンプレックス　

「コンプレックスとは、激情をともなう､イメージの複合体｣ です｡
深層意識(こころ)を分析する、ユング心理学の概念です｡

「台風の渦巻のように、
激しい感情を湧きあがらせる、
イメージの群れ」ともいえます。

深い瞑想をしていると、動きだす、イメージの複合体です。

禅では、〔魔境(まきょう)〕といって、
イメージの複合体(コンプレックス)にかかわらないように、
｢断･捨･離｣(だんしゃり)をすすめます。

｢断･捨･離｣は、おそうじ用語ではなく、
本来は、禅の言葉です((笑))

けれども、
〔魔境(まきょう)〕と知りつつ、
乗りこえる方法もあります。
それが、〔ヤントラ瞑想法〕です。
禅は、〔ヤントラという、瞑想の道具〕は使いません。

1)激情に乗っ取られず､
2)｢感情の渦｣を｢見つめる｣ことで､
3)自分にとって大切な｢気づき｣をえられます。
4)渦巻くチカラを〔ヤントラ〕へ転換すると、強力な味方になります。

〔イメージの複合体(コンプレックス)〕について、
１５歳でも直観的にわかるように
イラストをたくさん入れて、書いた本は、
↓↓↓↓
『BIG ME』　大きな自分に出会う こころの宇宙の座標軸
こころの成長物語 内藤景代･著 こちらへ

古今東西の神聖図形、
シンボル(象徴)や記号、
〔エンブレム〕などとの関係や、
ヤントラとヤントラ瞑想の方法は、
↓↓↓↓
『聖なるチカラと形･ヤントラ』精神世界の究極の｢なぞを解く｣
内藤景代･著 こちらへ

それだけでなく、
コンプレックスは、
〔元型イメージ〕と結びつくと、強大なチカラが発生します。
〔元型イメージは､象徴的（シンボリック)で､｢多層｣的･多重的な概念〕
なので、個人の意識(こころ)を超えて、深い｢層｣で動きだすからです。

↓↓↓↓

元型イメージとは、【元型（アーキタイプ）】。
深層心理学者のC･G･ユングが､元型（アーキタイプ）とくくったイメージ群です
元型（アーキタイプ）は、心が求める｢元型＝プロトタイプ＝母型｣的なイメージとして､
くり返されるパターン的な物語｡

個人の記憶や意識をこえて、
〔古代から蓄積された世界観〕として､
神話パターンのように残されているイメージ群です。

たとえば、
〔神〕や悪魔、
死、
《光》、【闇】…
運命的な女性(アニマ＝魂)、
英雄的な男性(アニムス＝精神＝スピリット）など。


〔深い瞑想をしていると、湧いてくるイメージ〕です。

元型イメージは、
象徴的（シンボリック)で、
｢多層｣的で多重的な概念なので
〔激情をともなう、イメージの複合体〕として、
強い磁力があります。

プラスにはたらけば、
《創造力》が無限に泉のように湧いてきます。

マイナスにはたらくと、
破壊的で、破滅的な、反社会的な力になったり、
自分を滅ぼしかねない自滅に導く力になります。



　　詳細は、以下の本を、どうぞ。

    『BIG ME』 こころの宇宙の座標軸 　こちらへ→→→



←←『聖なるチカラと形･ヤントラ』
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　　内藤景代･記

                                 

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