大きな海の中で、枠に入ったままの青い魚
NAYヨガスクール体験記 37
                     小林和之
直線上に配置

異性



それは夜のようであった。
湖上を漂う霧は、
女のからだとなり、柔らかな胸のふくらみや、白い手足の曲線を描きながら流れていた。
女のからだの輪郭をあらわにしては、
かたちを変え、たなびき、消えていく霧。

北海道へ上陸した頃、
僕は、ひとつの夢を見た。

湖上に、幾重にもかたちを変えながら漂う、
乳白色の霧の流れを見ている夢だ。

淡い月明かりの下、
その霧は、意思を持ち、女のからだの輪郭に翳を与え、ふくらみを描く。
或るときは、唐突に盛り上がり、乳房をあらわにさせ、
また或るときは、柔らかな肩から胸へのラインを描いていく。

異性は、霧の姿となって湖上に浮かぶように横たわる。
強い丸みを帯びる魅惑的な女のからだは、やがて崩れながら、消えていく。
僕は、漂う白い霧に浮かび上がり、あらわれては消えていく女の肉体に驚きながら、
それを見続けている……。


バシャリ、という水音がした。
振り返ると、
何か黒いものがズボーンッと湖上を突き抜けて飛び上がり、
水飛沫を上げながら、泳いで来る。
それは黒く、ぬらぬらと光るアザラシのようなものだった。

霧の描く肉体と対照的に
その動物は、醜く思えた。黒いアザラシのようなものは、
バシャンッバシャンッと跳ね上がり潜りながら、
霧へ向かい泳いで行く。

あらわれては消えていく白い女体の霧を追いかけているのだ。
途切れた霧の合間に、
僕は、黒目の光るその動物の横顔を見た。

触れることの出来ぬ性。

女のからだを求める醜い黒い塊は、
動物の鳴き声をあげ、跳ね上がり、
身悶えながら、白い女体の霧を追いかけているのだ。

叶わぬ性愛の夢を求めて。 


 オンネトー湖に着いたのは、
旅の始まりから一週間も経たぬ頃だ。

奥深い森の中にあらわれる瑠璃色に輝く神秘の湖。

僕はここが好きだった。

しばらく前に見た湖上を漂う霧の夢は、
摩周湖ではなく、このオンネトー湖のように思えた。

しかし、どこでもそうだったが、
人は誰もいない。

ひとりも。


夕方近くに着いた僕は、
湖のよく見える場所にテントを張り、
ほとりにある切り株に座ると、
湖を目に映していた。

瑠璃色の湖面。

白濁した木の枝が、
水際にいくつも見えた。

何らかの鉱物の成分が枝を包み込むように付着しているのだろう。

きっとそれでこの湖も絵の具のような色をしている。

 人の声が聞こえた。

僕は振り返り、声の方を見た。

森の中を誰かが歩いているようだった。

女性の声がした。おそらくオンネトー湖を一周する湖畔路を歩いているのだろう。

(人がいたんだ)

僕はそう思って少しドキリ、とした。

女の声たちはキャンプ場に入り、こちらへ歩いて向かっているようだった。

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 ※追記

「ひとりの時間」になると、
夢、まぼろし、幻夢、、、 妄想 、 幻影、 迷夢、 幻覚・・・
こころの奥にあるイメージの群れが結びあい、
出てきます。

だれにもある、「こころの【暗闇】との出会い」。

.............瞑想しているときの、イメージの群舞のようです。


「雑念」として流し、
囚われないことが、
瞑想(冥想)の練習です。


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