大きな海の中で、枠に入ったままの青い魚
NAYヨガスクール体験記 20       小林和之
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幸 運      

はじめて教室の扉を開いたとき、

こころの声を耳にした。

 

と以前語った。

 

すべてはその声から始まり、

 

浮遊していた僕の精神は、

戻るべき場所へと、

帰っていったのだと思う。

 

教室の扉を開くとともに、

僕は、

僕のほんとうの声とつながったのだ。

 

《ここを最後にしよう、

 

 ここになかったら

 

僕は もう 終わりにしよう……》

 

水面に起こる波紋のような 声を ききながら、

 

僕は思った。

 

僕の声なのだ と。

 

かくしていた僕の、ほんとうの声だと。

 

そして僕は、驚きとともに

「何もかも捨てて行こう」

と思ったのだ。

知られまいとする 僕を。

うそをつき、

ほんとうのことを かくしている僕を。

 

今までの僕を。

 

それは 同時に 自分というものを

知り続けることでもあった。

 

恥ずかしくて、

認められなくて、

かくしていた

ほんとうの理由。

 

カッコワルイ 自分。

 

それら すべての 荒波を 乗り越えて、

 

僕は 僕に なろう。

 

等身大の 僕に なろう。

 

こころは そう願っていた。

 

何度も 開いた 景代先生の本、

くりかえし読んだ いくつかの一節。

穴が開くほど読んでも わからなかったその意味を知り、

今度こそ 僕は向き合うのだ。

僕というものに。

 

〈開いたこころ〉で生きることが

こころの成長にとって必要なことなのです。

けれど、

こころの成長を はばむものがいます。

それは こころ自身です。    

           「冥想〜こころを旅する本〜
」より

 

 

 

まず、自分の弱さを直視できる、

勇気を持とう。

 

いま、ここに生きている、

滅びゆく肉体をもった、

永遠の魂の宿る、

等身大の自分を、

まず自覚することだ。

 

私たちが孤独を感じるのは、

この深く広い世界にまで

自分がおりていこうとしない場合だ。

 

みんな、同じようなことを苦しみ、

悩んできたのだ。


   「BIG ME〜こころの宇宙の座標軸〜」より

 

 

《こころを開く》

 

その意味が 

わからないのは当然だった。

 

僕は 僕のこころを 

自分の目にさえ 触れぬようにしまい込み、

そして いつも ひとりだったのだから。

 

けれど、景代先生の本を読んで以来、

いつも考えていた問いは、

なだれを起こすほど こころに堆積されており、

僕に、僕の行く方向を いつしか自覚させていた。

今度こそ ほんとうに 僕は行く。

 

19才の僕の

決意は 固かった。

 

《ここを最後にしよう》と、

 

こころが 言っている くらいなのだから。

 

 

僕は 自分を 幸運な人間と思う。

 

これから、きっと 多くの不幸を 

語っていくことになるだろうから

 

はじめに そのことを伝えておこう。

 

しかし 運不運といった 

神のみぞ 知る 偶然の作用など ほんとうはない。

 

運命も 宿命も 決まった未来も、

この世にはないのだ。

 

運命や 幸運と 呼ばれるものは、

無意識と対峙する 自我の姿勢によって

この世へ展開されていくもの。

 

ただ それだけだと思う。

 

幸運。

 

僕にとって、

幸運とは、

「こころの声を聞く」

ことだといっていい。

 

(幻聴を聞く

  ことを奨励しているように思われると

  嫌なので、

そこらへんの違いは、

 

「BIG ME〜こころの宇宙の座標軸〜」の11.

自他未分×自他一如 

狂気と正気の交差点。

の項を参照して頂ければと思う。こちらへ

 

僕は その声を聞くとき、

やっと会えた、

と思う。

 

とうとう僕のもの になった、とも。

 

こころの声を聞く、

とは、

自分を知る、

ということだ。

 

大きな物語を。

 

それは ほんとうの倫理を 知ることではないだろうか。

 

時世、時節が変り、

世の中の価値が移り変わっても、

目に見えぬ大きな物差しは

いつも語りかけてくれるのだから。



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