大きな海の中で、枠に入ったままの青い魚
NAYヨガスクール体験記 12         小林和之
直線上に配置
  『BIG ME〜こころの宇宙の座標軸〜』


春、
時々正気に戻る自分は、
不安や焦りのようなものが
こころに立ち込めるたび、
いくら何をしても
ちっとも成長していない自分を感じていた。

 

おまえは遠く離れている。

  ほんとうの こころから……。

 

立ち込める不安感に
  
 そう言われているような気がするのだ。

僕はあせっていた。

冥想らしきものをしたところで、
何も見えず、
いくら眉間に皺を寄せても
宇宙の啓示はない。


 

……けれど、こころの成長をはばむものがいます。

       それは  こころ自身です。


                        冥想 こころを旅する本』より

 

もしかしたら、僕は生まれ変われない。
 このままでは。
 
 しかし、その先の自覚へ進むには、困難なことがあった。

 自分の失敗と勘違いを
 認めなければならない、

 という難敵がいたのだ。


書店に注文しておいた
『BIG
ME〜こころの宇宙の座標軸〜』は、
そんな頃、僕の手元に届いた。

すべては偶然の流れであり、
誰の作為もない。

しかしとても偶然とは思えない。

僕は罠にはめられたのか? 

それとも、何者かに愛されているのか……。

 

夜だった。

いや、本屋には日の光が差し込んでいた。

僕はきっと夜の訪れに気づかぬほど、
吸い込まれるように
買ったばかりの『BIG
ME』を読んでいたのだろう。

(しかし途中で立ち上がり、きっと明かりは点けていた)

僕は読んでいる途中で
この本を放り投げた。

何かの比喩ではない。

ほんとうに放り投げたのだ。

それも意思を伴わずに。

何かに打たれたように
からだが反応し、
本を取り落としたか、
もしくはバネのようにはじいたのだ。

 

バサリ。

 


僕にはそれ以上
この本を読み進めることは出来なかった。


……鏡の迷宮の中を誰かが歩いている。

気になって仕方のない僕は
その影を追う。

心臓がどきどきとしている。

まさか…。

そんなはずは…!

 僕はけれど確かめずにはおれない。

その一心で読み進め、
迷宮の影を追った。

息は上がり、
足元はふるえおののいていたが、
もはや確かめずにはおれなかった。

おそれていた
自分のほんとうの姿を。


『BIG ME〜こころの宇宙の座標軸〜』

僕の「こころ」という

闇の迷宮に

光を照らしていたのだ。


ありとあらゆる
うそを暴いていくように。



その光と共に、
景代先生の言葉と共に、
僕は
まざまざと等身大の自分を追っていた。

息をするのも忘れんばかりに。


そしてついに、

僕の誤った物語

(自己陶酔、
     元型イメージとの
                 自他未分)

に矢を放ち、

解体する言葉は放たれた。

 



「目を覚ませ! 

イメージの世界に飲み込まれて、

等身大の自分を

忘れてはだめだ。


〜中略〜 

みんな自分を失って、

仮面や
元型や
コンプレックス

自他未分になっている。

いま、ここに生きている、

滅びゆく肉体をもった、

永遠の魂の宿る、

等身大の自分を、

まず自覚することだ。 」


(文中より 『BIG ME〜こころの宇宙の座標軸〜』

                          Part2-11 狂気と正気の交差点

 

僕は
雷に打たれた理科室の人体模型のように
跳ね上がって驚き、
あやうく歩き出しそうになった。

しかし、そこから先を読み進めることは
もはや出来なかった。

落とした本を手に取り、
ふたたび開くことも。


この本を
読まなければならないことは
わかっている。


ゆえに翌日、
僕は呼吸を整えてから本を開き、
最後まで読み終えた。

そしてほぼ無意識に
外の物置にしまった。

《この本はいずれまた読まなければならない》

 その自覚はあった。

けれど
今は出来ない。

目に留まる
自分の身辺に
置いておくことすら。

《いつか、読む》

 僕はそう思った。

捨てる気はなかった。



BIG ME〜こころの宇宙の座標軸〜』を読んだこの夜、
立ち込めていた不安は、
風船のようにめらめらと
極限までふくらみ、

目を覚ませ! 

の一喝により

破裂して

消えた。



我に返ったのだ。

こうして春は、
僕に小康状態なるものをもたらした。



メランコリーはいつのまにか消えていた。



そのかわり、僕には新しい名前が与えられた。



かくも不愉快なひとつの括り

永遠の少年」という。

……………     ……………     ……………    ……………

※追記1:



「永遠の少年」とは、ユング心理学の括り=くくりかた(概念)です。

人間の深層意識に潜む、「元型イメージ=プロトタイプ」のひとつ。

この「永遠の少年」イメージに取り憑かれ
「自他未分」になると、
「社会的な規範に従う大人になることを拒否して、
自由な子どものままでいようとする」。

芸術家などに多い、〈人間のタイプ〉です。

別のいい方をすると、
いつまでも、少年らしい可能性や魅力を持っているが、
現実と向き合っていくこと、
大人になることができない
人間像の元型。

それが「永遠の少年」タイプです。



※追記2:

前回に「永遠の少年」タイプ特有の、こころの傾向を、
和之さんは「10代の自分」としてかいています。


◆今の自分は仮の姿であるゆ
どんなにみすぼらしくとも それでよかったのだ。

鈍感な俗物たちの中で、

唯一の繊細な感性を持った特別の存在》の僕


※追記3:

コンプレックスとは、
「よくも悪くも、激しい感情をともなう、イメージの複合体」です。

              
ユング心理学によれば、
「永遠の少年」や「自分(セルフ)」のイメージをはじめ、
元型イメージは、《象徴的な神話的イメージの複合体》なので、
コンプレックスを刺激し[激情の嵐]がおきやすい。

詳細と対応策は、
『BIG ME こころの宇宙の座標軸』内藤景代・著
 こころの成長物語… 自己実現への旅



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